* 月の終わり *

-the end of the moon- part.1












「―――――んっ」

考えるのは、愛するもののこと。
考えるのは、愛しいもののこと。
考えるのは、帰らぬもののこと。

「…ぁ………」

目の前で笑うあの人。
でも、それは写真で。
もう、本当の笑顔を見ることは出来ない。
それでも…それだからこそ。
彼に犯されていることを考えてしまう。
自分の前には、もう一人誰かがいると思って。
この手も、あの人のものだと思って。
自分のモノを掴んではおかしくなるくらいに動かし、
中に指を入れては滅茶苦茶に掻き回す。

「はぁ…ん…」

思わず漏らしてしまう甘い声も、
聞いてくれる人はもういない。

部屋中に響き渡るのは、とどまることを知らない淫猥な音。


――わかってる。
こんなことをしたって虚しいだけだって。

でも、自分の欲は治まることはなく。
ただただ淫乱な行為に身を委ねる。

――あの人と身を重ねたのは何度になっただろう。

二人で行う、夜の営み。
二人だからこそ、意味があったのに。

今は、もうあの人はいない。
それはわかってる。
でも忘れられる宛もなく。


「あ…」


優しかったあの人を。


「あんっ…」


優しくも、自分を狂わせてくれたあの人を。


「ん……ぁ…」


忘れることなんて、無理だった。


――もとはといえば、死ぬのは自分だったはず。


向かってくる車。

竦む足。

叫ばれる声。

轟くブレーキ音。


『英二、危ない!!』

『―――』


広がる赤い海。

動かなくなる愛しい人。

駆け寄る人々。

車のサイレン。

運ばれるあの人。


『……っうわぁぁぁぁぁぁぁ!』


高々に叫んだあの声も、あの人には聞こえたのか。
事故から二時間後、病院の集中治療室で息を引き取ったという。
今でも鮮明に思い出せる、認めたくない事実。

だから、今ここに、あの人はいると思って。

「…はぁ…んんっ……」

モノを掴む手に熱がこもる。
否、熱がこもっているのはそのモノ自身。

あの人を考えて。
あの人を思って。
あの人の感触を思い出して。

…頭の中にあの人の笑顔が浮かぶ。
でも、それはあくまでも自分の思考で。
微笑んでくれた笑顔も幻覚という過去の思い出で。

自分の、手に、感じて。

でもやはり、頭の中はあの人のことだけ。


「はぁん…ん……ぉ…大石っ!」


辺りは白い欲望の液で満たされた。
しかし、自分の思いは治まることはなく。

ただ独り、あの人といたときのことを思い出しては
力なく萎えて夜の感傷に浸るのだった。




今夜は新月で、外は闇だった―――。

























わ〜い!(空笑顔)
初1Pものでぃす!(やけっぱち)
…アホですんません。
これからこの小説は長々と続いていくのですが、
実はこの小説を書くきっかけになったのは
この話を書きたかったからとかそうじゃないとか。むにゅむにゅ。(死ネ)
その為に大石さんに死んで頂いた。ごめんなさい。(爆)
さあ、どんどん続きます!!
菊総受祭り、スタートォ!


2002/08/16