* 私がずっと大好きだった君。 *












良く言えば、落ち着く存在。

悪く言えば、もうときめかない。


良いのか悪いのか、例えるならば、もはや家族。

……うん。


あの頃の感情はどこへ。



「英二、それとって」

「あいよ」


「んでもって、これいる?」

「サーンキュ」


まさにツーとカー、なやりとりをして考える。

英二って、こんなだったっけ。
こんなだったか。

自分が変わったのか、それとも変わったのは英二の方なのか考える。



いや、違かったよ?
絶対英二こんなじゃなかった!

でも、だからといって戻ってほしいかというとそんなこともなくて…。


うーん。


一人で勝手に思い悩んでいると、後ろから加重。
短いぴょんぴょん髪が頬をくすぐる。


「英二、重い」

「んー。」


きゅっと背中に力が入るのを感じた。

私が憶えてるよりも、
ずしっと何か重い感じがした。

そういえば、昔、私と英二体重変わらなかったよね。
さすがに今は違うかな。

でもそういう物理的なやつじゃなくて、本当に、
なんか軽さが減った気がするよね、英二。


「ほほーいはどうしたの」

「何それ」

「…付き合った当初良く言ってたじゃん」

「もうさ、中学の頃のオレの話はやめろよ」


なんでよ。
私は大好きだったのに、あの頃の英二。

あの頃の英二が大好きだったし、
あの頃は何よりも英二が大好きだった。


「あの頃のオレ、不安定だったんだろうな〜…」

「そこは、だろうにゃ〜、じゃなくて?」

「…やめろよ、からかうの」


そういって英二がしかめ面をするから、私はケラケラ笑った。

確かにあの頃の英二は、不安定だった。
元気一杯で、ちょっとコドモっぽい同級生だと思ってたら、
ぐんぐん背が伸びてきて一気に身長追い抜かされて、
元気一杯だった言動が、急に大人びてきて、
確か初めて英二が気になりだしたのは、その頃だった気がする。

きっと、変わってゆく自分の体に、心が追いつかなかったんだろうなぁ。


だけどやっぱり私が一番好きだったのは、元気一杯な英二だった。


「ね、もう猫言葉使わないの?」

「あーもう、アレはオレ的には黒歴史だから!」

「うそー、私は好きだったけどな」


常に動き回ってて、
意味不明な言動、
突拍子もない会話、
人の迷惑顧みずに振る舞って、
と思ったら急に落ち込んでみたり。


私、色んな英二を知ってる。

きっと、そのときどきで、いろいろ悩んで、考えて、
その中で、“自分らしくいる”っていうことだけは譲らなかった、
全てが一番の自由な英二の姿だって、考えていいのかな?



「前の方が良かったとかいうの?」



口を尖らせた英二の質問。

私は無言で首を振る。



「ありのままの英二が大好きだよ。今が一番いい」



そう伝えたら、英二は、急にそわそわし始めて。
なんか、らしくないな、って思ったら、
それは、英二が今まで一度もなかった初めての行動を取ったからで。


手を取られ、た、だけじゃない。



「これからも一緒に居てくれる?」



繋がれた左手と左手、余った英二の右手に、誓いの輪っかが光ってる。




『良いのか悪いのか、例えるならば、もはや家族』

先ほどの自分の思考を振り返って、笑顔。


決まってるじゃん、そんなの。
良いに決まってる。



「もはや家族、か…」

「え、なんてった?」

「……なんでもない」



私は笑って、薬指を伸ばす。



「ありがとう。これからも、一緒に居てね」



英二は、何も言わずに笑った。



もはや言葉なんていらない。

それが、最近の私たちの疎遠の理由。

そういうことでいい、かな?




これからもずっと一緒にいたい。

それは間違いないんだ。




「伝え忘れてた」

「なぁに?」




舌っ足らずなその言葉に、満面の笑みで伝える。




「お誕生日おめでとう。大好きだよ、英二」




ああ、なんだか、

久しぶりに君の笑顔を見えた気がした。
























長いこと英二夢書けてないことに気付きまして。
最後が2013年、といっても三角関係(しかもほぼ報われない側)ばっか書いてて
単品で書いたの前回…2006年?信じらんねぇw
仮にも好きキャラベスト2、3争ってるというのに!

初っぱなは阿吽の呼吸の黄金を意識しまたした笑
それ並み、否、それ以上に仲の良い二人のイメージです。
英二、最近全然作品に取り上げてなくてごめんな笑
大好きだよ〜にゃん菊ちゃんは勿論だけど、初期菊もなw

英二お誕生日おめでとう!!!


2018/11/28