* 君への熱が止まらない *












「…ぁ、っく……!」




自身の中心にそそり立つ棒をしごく手が速まる。
息が荒いのが自分でわかる。

隣の妹の部屋まで音が届いてしまっていないか、
始めは気をつけていたけれど、もうその余裕もない。


俺は想像をする。



『秀ちゃん!』


可愛く見上げてくる笑顔。



『秀ちゃん…』


恥ずかしそうに逸らした横顔。



『ぁ、しゅうちゃん…ッ!』


乱れて崩れて、涙と唾液に濡れた善がり顔。



「はぁ、ハッ…ハッ………、ッ…!」



うっ!



意識が飛ぶ直前に急いで掴んだティッシュに全てを放り、
息が整ってくると共に恍惚から戻ってきた俺は、

罪悪感……。



また、やってしまっ、た。



もうをオカズにするようなことは絶対にしない、って前回も誓ったのに、
気付くと今日のようなことになっている…今週に入って3回目。

あんなに無邪気で無垢なを、想像の中とはいえ、
本人の知らないところであんなことやこんなこと、
顔、声、なんかをさせているというのは、どうにも気が引けてならない。

そもそも、このような行為自体に生産性があるとも思えない…。
しなくて済むのだったらそれでいいと思っている。
でも、どうしても衝動が沸き上がってしまう。
男としては逆に健全なのかも知れないが。
だから、そういう本なり動画だったりで済まそうとは試みている。のに、
意識がぼーっとしてくると、どうにも顔がに見えてきてしてしまう。
そして目を閉じると、より鮮明に乱れるその姿が想像できてしまう。

そうなると、もう止まらない。今日みたいに。

イケナイとは思っているけど、


君がいいんだ。


君に触れたい。





  **




いつも通り学校と部活を終えた。
敢えて一つ変わった点を挙げるとしたら、
の顔がまともに見られない…それくらいかな。
昨日のようなことはもう起こすまい…そう思いながら
晩ご飯の後に日課である自習に取り掛かる。

まずは四次関数の問題。
曲線の二つ頂点には点Pと点Qがあるが。
なんかこれ、女性の乳房に見えるな…乳首までご丁寧にあるし…。

前に満員電車で押し当てられたとき、
のおっぱい、柔らかかったな…。

って、ダメだ!何を考えているんだ大石秀一郎!しっかりしろ!!


雑念が浮かびすぎる。
この問題は今は飛ばそう。
また昼間の冷静なときにやればいいさ。

次は円も出てくる問題だ。
円周率はπ、パイ……。
………。

…ダメだって言ってるだろ!集中しろ俺!!


しかし、
もはやどの問題を読んでも頭に入ってこず、
その代わりに頭を支配する思想…

のおっぱい…
のおっぱい…
のおっぱい…


…ハァ。

もう、抜こう。


こうなってしまってはダメなことは、誰より俺自身が知っている。
悶々としているよりもいっそのことさっさとすっきりしてしまった方がいい。

男として成長している証拠なのかもわからないが、
日に日に性欲が強くなっているように感じる。
このままでは…本当に俺はどうなってしまうんだ。
勉強もままならないし、このままではの顔だって満足に見られない…。

ひとまず、今の性欲を抑えないとまともな思考さえ出来ない。


ベルトを緩めてチャックを下ろす。
もう既に完全に勃起しきった俺の息子は、下着を押し上げて強烈に主張してきていた。

下着から引きずり出して、軽くしごく。
もう充分過ぎるほどに硬くなっていた。
手を軽く前後すると、硬さは更に増し、先端に汁が溢れるのを感じる。
そこに触れて、汁を広げるように全体に手を滑らすと、吐息が無意識に荒くなってきた。


俺の先端は、ここ。
は、先端って言ったら、乳首かな。
先端同士でつつき合わせたら、どんな感じだろう。
は乳首、感じるのかな…。
の、あの、やわらかなおっぱい…。

って、ダメだ!
今日こそはのことは考えないって決めただろ!

早く、何かしらのオカズを…

そう思って右手でしごいたまま左手でスマホを手に取り操作していたら、
画面が一瞬着信画面に変わって、即座にタップしてしまったようだった。


通話が繋がっていた。

相手は…


えっ。


『もしもし、秀ちゃん?』

「もしも、し…、どうした、んだ…?」


焦って耳元に当てた受話器からは、の声が聞こえてきた。
俺は荒げている息を気付かれないように気を払った結果、
逆に不自然なほどに言葉が途切れ途切れになった。
疑問に思ったようでが聞いてくる。


『秀ちゃん、筋トレでもしてた?息切れしてない?』

「そういうわけじゃ、ないけど」

『あっそ?まいいや』


しまった。
いっそ、そうだと言ってしまえば誤魔化せたのに。
正直すぎる自分の性分に苦笑い。
かといって、股間に添えた右手を離すこともできない。

の声を聞きながらオナニーしているだなんて、気持ち良すぎる…!
電波越しだけれど、耳元で話されているみたいで。
興奮が止まらない。


『別に用はないんだけど、話したくなって電話しちゃった!
 秀ちゃんは今何してた?』

「えーっと、勉強かな…」

『えーさすが!』


本当は、性欲が暴走して、勉強に手が付かなくなって、
君のおっぱいをつついたり揉みしだいたりする想像をしながらオナニーしてました、
なんて、言ったらどんな反応をするかななんてちょっと試したくなってしまったけど、
さすがにそれは出来ない。

だけど、そのオナニーを続けながら通話しているだなんて、興奮が止むわけがない。
イケナイと思っているのに、気持ち良すぎて手が離せない。
先走り汁を全体に塗りたくった股間が艶めいている。

ああ、もう、挿れたい。
もし声だけではなく本当に今ここにがいたとしたら、
様々な要因とか全て無視して、中の奥の奥まで挿れてしまうんじゃないか。
それぐらい興奮していて、簡単には治まりそうにない。


だけど通話は続いていて。
と何を話そう、と思っても、

はオナニーってするの?とか、
はエッチしてみたいと思わないの?とか、
あり得ない質問ばかりが浮かんで消える。

何を言おうか、と考えていると、先に言葉を発したのはだった。


『秀ちゃんってさ、エッチなこととか興味あるの?』


「  」


手の中で、股間がふにゃりと萎えた。


興奮しすぎて出したか?!
いや、出てない。

興奮しすぎてビックリしすぎて逆に萎えた、ってやつだ。


だって、え、えええ?????
から、そんな言葉が出てくるなんて…?!


「え、、なっ、突然どうして…?!」

『なんか友達にさ…この前チューしたって話したら、「やっと?!」って驚かれて、
 「大石はそういうの興味なさそうだしそれ以上進むの時間かかりそうだね」って』


そんな話になっているのか…!
興味なさそうどころか、俺は、こんなになってしまっているというのに…。



『ねっ、秀ちゃんはさ、私とえっちなことしたいとか、思うの?』



まさか、
さっき自分からしようかと頭に浮かんだけれどあまりに酷すぎると聞けなかったことが、
向こうから飛んでくる形で話題に上がるだなんて。


これ、は。

うまく答えれば、すぐにでも、
とエッチできる関係になれるんじゃないか…?

想像だけじゃなくて、罪悪感なんてなくて、
本物の君の声を聞いて生身の君の体に触れて
一緒に快楽に堕ちていくことができる。

そう頭をよぎった。

でも。



「思ってるよ。いつかはそうしたいって」

『いつか…?』

「うん。あのな、…俺たちはまだ付き合い始めたばかりで、中学生で。
 まだ心も体も、そういうことをする準備が出来ていないと思うんだ」

『…うん』

「誰よりも、俺自身がな。
 …もっと、しっかりとした男になって、
 自信を持ってとそういうことが出来る日が来たらいいなと思ってるよ」


自分で自分の首を絞めた気がした。
でも、いいんだ、これで。

勝手な欲望を追いやったら、これが本当の気持ちだ。偽りは何一つない。


しかし…から返事がない。

あれ、まさか幻滅された…?
甲斐性なしの男とでも思われたか!?
それは心外だ!


…」

『ありがと、秀ちゃん』


思わず掛けた声に返されてきたその声は、明らかに涙声だった。

…。


『ごめんね、私一人で勝手に不安になったりなんかして。
 人と比べても意味ないってわかってるのに、
 友達に言われたことで不安になっちゃって…』

「…ああ、わかるよ」

『大事なのは、秀ちゃんと私の気持ちだもんね。
 …私のことを、大切に思ってくれて、ありがとう』


こちらこそ、ありがとう。
そう伝えたかったけれど、喉が詰まって言えなかった。

本当に、はなんて良い子なんだ。
大切にしたい。
ずっと、ずっと。


『突然変なこと聞いちゃってごめんね!
 色々話せて良かった。そろそろ切るね』

「こちらこそ、話せて良かったよ。おやすみ」

『おやすみー』


それ以上もう声が聞こえてこないことを確認して電話をそっと切ると、
そこには下半身剥き出しの自分。

……。

あまりに情けない状態であった。
今更ながら、どんな状況で通話を開始していたか思い出して自分を恥じた。


頭も冷めたし、そのまま終わりにしてしまって良かった。

でも…なんだろう。
今までとは違う感情で、君を“抱きたい”と思っている自分が居た。

元気を失った自分自身に再び手を添えた。
一度は熱を失ったとはいえ、
少しの刺激ですぐに元以上の熱さを取り戻した。


先ほどまで聞こえていた君の声を思い出す。


さっきまでの想像では、俺の欲望に穢されるがままだった君、が、

少し幸せそうに笑って、

俺と同じように気持ち良くなっている、そういう表情をする。


そんな想像だけで、俺の股間は簡単に白濁を吐き出してしまって、
本当に君が好きで、触れたくて、その気持ちだけは本当なのだと思う。


一緒のものを感じて、
一緒に幸せな気持ちになる。


いつか来るであろうそんな日を夢見て、今夜も、君への熱が止まらない。






















主人公で抜きまくる大石を書きたかっただけ(笑)(性癖丸出し)
自分のことを変態で最低なやつだと思ってる大石が可愛いよね、
残念ながら変態で最低なのはこれを書いてる私です(知ってる)

中3の段階でスマホがある世界線ねw
そういえば四次関数が中学校の範囲では習わないと気付いてワロタわ。
中学って二次方程式とかかーそんな簡単なことやってたんか懐かしいわ。

まだ仕上がってないけどこれの前に繋がる話も書き中。


2018/10/30