* 毎年祝いの日 *
「秀一郎、お誕生日おめでとう!」
会って開口一番そう言って、ハイ、とプレゼントを渡すと、
秀一郎はぱちくりと瞬きを繰り返してから、「ありがとう」と表情を綻ばせた。
「憶えててくれたんだ、嬉しいよ」
「忘れるわけないでしょー!」
私は上機嫌でそう言ったけど、秀一郎は
「昔から、俺の誕生日って忘れられることが多いんだよなぁ」
と言った。
笑顔ではあるけれど、なんだか横顔が寂しそうにも見えるような?
「そうなの?」
「ああ。誕生日が4月だからさ、
クラス替えの直後でクラスメイトの友達とか把握してなかったり、
知っててもゴールデンウィークの間に過ぎちゃったりさ」
「あー」
確かに、今年の秀一郎の誕生日は、振替休日の月曜日。
そっか、あんまり気にしたことなかったけど、
誕生日のタイミングによってはそういうこともあるんだ。
「もう大丈夫だね」
「ん、何が?」
「私が毎年憶えてるし、これからずっとお祝いしてあげる」
言った直後に、「ずっと」なんてなんか重い女みたいになったかな?って思ったけど、
秀一郎は曇りない笑顔で「ありがとう」って言ってくれたから。
「来年も楽しみにしててね」
「気が早すぎるんだじゃないか。その前に、の誕生日だろ」
「へへっ、忘れないでよね」
そんな話をしてとても楽しい今日と、既に楽しみな、これから毎年の誕生日。
私の誕生日も毎年GWに被りがちだし、
なんならGWの最終日になって
みんなに絶望される日になりがちだから気持ちはわかる(笑)
今年の大石の誕生日が来るな〜
と思ったら舞い降りてきて一気に書き上げた5分作(笑)
2018/04/29