* Chocolates are brown. *












“明日は特別 スペシャル・デー”


そんな歌を口ずさみながら、
私は一通の手紙を準備している。

なんて楽しくて、可愛い歌なのだろう。
恋に浮かれた女の子の気持ちがよく伝わってくる。


思い起こせば、私も去年、一昨年…そのまた前も、
すごくドキドキしていたなぁ。


準備をしたのに渡せない経験を初めてした三年前、
手作りを失敗しちゃって買ったものと両方渡した一昨年、
何も渡さなかったけれど日付が変わる前から跨いだ後も一緒に過ごした去年、

そして、明日。



渡せなかったこと、付き合ってから話したら
「なんでくれなかったんだ、勿体ない!」って言ってくれたよね。

少し高いのを買って渡したのに、
手作りの方にだけ「おいしかったよ!」って感想をくれたよね。

渡せるものはないよって言ったら
「わかってるよ、それより一緒に居られるからいいじゃないか」って笑ったよね。


どうしてこうなっちゃったのかな。


何年か前、笑いながら歌った『バレンタインデー・キッス』、
あの頃はどれだけ楽しかっただろう。



バレンタインは、好きな人に告白をする一年一度のチャンス。

だとしたら私のこれも、一年一度のチャンスだと思うから。



黒ペンを置いて

文面を見返す。



「返事がなければ、私たちは終わったものと解釈します」。



そしてきっと返事はないから

これが最後のお手紙。


明日もきっと、恋の記念日。





――Roses are red,

  Violets are blue,

  Chocolates are brown,

  which I cannot give you.






『バレンタイン・キッス』作詞: 秋元康 作曲: 瀬井広明






















はいはい現実込みおつおつ。
自分以外は読んでも楽しくない作品ができた!なんなら自分も楽しくない(笑)
バレンタイン・キッスのポップ浮かれ具合と
Roses are red〜、のシックでポエミーの対比を理解して頂ければ。

“成功してほしいラブレターは”
緑ペンで書くと相場が決まってるのですよ。(私の中で)

大石夢だと言い張る(笑)(鍵カッコ内の口調あたりが…)


2018/02/13