* あったかくてやんなっちゃう。 *












「もうやだ!秀のバカ!!」


久しぶりの、喧嘩。

思いっきり叫ぶと、涙まで出てきた。


泣くのなんて、本当はヤダ。
泣けば許してもらえると思ってる女になるのは嫌だし、
そうとは思ってなくても甘くなられても不本意。

でも感情が溢れすぎて、
悲しいんじゃなくて怒ってるのに、涙が出る。


「……バカはないだろ。ちょっと頭冷やせ」

「そっちが悪いんじゃん!!」


秀が宥めようとしてきてるのはわかる、けど、
譲れないし、そんな気持ちになれない。


喧嘩がしたいわけではない。
だけど、気持ちが抑えられない。


バカ。

……秀の、バカ。


ばかぁー…。



、もう行こう」

「………」



子供たちが帰った後の、夕方の公園は静か。
秀の言葉無視して、私が黙っちゃえば、辺りは完全な沈黙。


音、要らない。

全部全部なくなっちゃえ。


でも完全な沈黙にできないのは、
私のしゃくり上げる声のせい。

もう……イヤ。



私の呼吸も落ち着ききらないうちに。



何も言わずに


秀は私の手を引いて。




…………ああもう。


なんなの。



あったかくてやんなっちゃう。




私、まだ怒ってるからね。
許してないんだから。

でも……

あんまりにあったかくて、
気をつけてないとほだされそうなくらい、
あなたの手はあたたかくて

ほんとイヤになる。






















絶対大石って手あったかそうじゃん?
不二の手は冷たい、大石の手はあったかい!これは譲れない!
20170403発案かぁ。
見事に、温かくなると大石夢を書きたくなる現象の餌食だ(笑)


2017/11/26