* 寝ても覚めても誕生日 *
「さん、にー、いち…ハイ!大石秀一郎くん三十路突入おめでとう!!」
パチパチ、と私は手を叩く。
シュウは呆れたような声で「、言い方」と言った。
気にせず私はケラケラと笑う。
「それじゃあ、寝るか」
「はーい」
「おやすみ」
「おやすみー。お誕生日おめでとっ!ハバナイスドリーム!」
シュウは特に返事をしなくて、電気だけをパチンと消した。
しばらく沈黙があって、
ごそごそと寝返りを打つ音が聞こえて、
静かな寝息が聞こえてくる。
おやすみ、また明日。
心の中でもう一度挨拶をして、
大きく深呼吸をすると一気に意識がまどろんできた。
* * *
………朝。
パチパチと瞬きをして横を見ると、
シュウはもう起きてて、天井の一点を見つめてた。
「…おはよ」
「おはよう」
私が起きたことに気付いて、
少し体をこちらに向けた。
私は枕元のスマホ見て、時間を確認して、
体を近づけて体に手を回して、
「お誕生日おめでとう」
と言った。
そうしたらシュウは笑顔だけど、
ちょっとあきれた風に
「寝る前に聞いたぞ」
って返してきて。
だから私は、もっともっと笑顔で。
「ドイツ時間」
おや、という顔をしたシュウは、
今度こそ、優しい笑顔になって。
「なんだそれ、懐かしいな」
って目を細めた。
冗談が言えて、分かり合える関係であること。
今は同じ場所で同じ時間を共有できていること。
前とは違って24時間になっちゃったけど
31時間もお祝いしてたあの頃が懐かしいけど
その24時間が、いっしょに過ごせるようになってるだなんて。
そのことに感謝できるのも、あの頃淋しさ我慢したお陰かな。
よく頑張ったね、私たち。
今も、ずっと一緒に居られることに感謝。
お誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう。
私の人生プランでは20代のうちに結婚できるはずだったので
この二人は結婚してると思うんだけど
「現実込み」が大稲なのにそれで良いのだろうか。(←独身喪女の悩み)
少なくとも一緒に暮らして長い設定で。
ポイントは、成熟しきった大石と
成長はしてるんだけで無邪気さの残ってるちゃん。
大石はくたびれたおっさんになり始めてるので
ちゃんの逆に余り笑わなくなってる笑
(↑大稲作品に限ってはあとがきで「主人公ちゃん」
呼びでなくて名前呼びさせて頂く必要がw)
大石お誕生日おめでとー!愛!
2017/04/30