* 恋風 *

 〜twenty seventeenth windy love〜













初恋の人に再会した。

結婚式で。



もう、あの恋から10年の月日が流れた。

大石くんとは中学の頃から付き合っていて、
私も同級生だった。

今でも頻繁に会うような関係ではなくて、
も数年ぶりだし、大石くんに至っては成人式あたりだから
5年は会っていないはず。

中学の同級生同士の結婚だし、
当時はグループぐるみで仲が良かったこともあって
式に呼んでもらえることになったのだと思う。



4月末、大石くんの誕生日に告白したことがきっかけで付き合い始めたことは聞いていた。
今日の式はその日程になるべく近づけたということだ。

そしてなんでわざわざ仙台なんかにしたのかと聞いたら、
大石くんの出身地でもあるし、
桜が舞い散る中にしたかったからとのことだと事前に聞いた。


本人たち自身もそうだし、
御車代とか準備するのも大変だったろうに…とか余計な心配をしてしまう。


ああでも、正解だと思う。



どうしてこんなに桜は美しいのだろう。

そして桜を見ていると、どうしても様々のこと思い出す。



色々な人と出会って

着いて

離れて

そのたびにたくさん悩んで


はらはらと舞う淡い桃色を見ているだけで、胸が一杯になる。


思い返せば、私が大石くんへの恋を自覚したその瞬間も、
花びら舞い散る桜の木の下だった気がする。


には一度も言えなかったけど、
私はずっと大石くんが好きだった。


にも言えなかったし、大石くんにも言えなかった。
男女数名ずつのグループでいつも仲良くしていたけど、
一緒に居られるのは楽しくて、だけどどこか辛くて、
初恋ながら複雑な感情に駆られていたことを思い出す。

私は大石くんを好きだった、
はその大石くんに告白して付き合うことになった、
だけどはずっと良い子で、
友達として大好きで、
のろけも愚痴も当時はたくさん聞いて、
それでも仲良くしている二人はずっと羨ましかった。


あれから、10年。


決してこの10年間、私もずっと大石くんを好きだったわけじゃないし、
その間に色んな人と色んなことがあった。
それでもやっぱり、久しぶりに見てみても、
本当に大石くんは良い人だなって思うし、
のことが羨ましくもある。

でもきっと大石くんとだって、10年という長い月日、
ずっと平和で何事もなく付き合ってきたというわけではないだろう。


それでも今日、こうしてこの日を迎えている。



淡いピンクの吹雪が舞う中、
純白のドレスが揺れる。

ああ、なんて美しい。



「おめでとう。大石くん、



あまりに綺麗で、目の端が潤む。
東京よりも遅い満開の桜たちが、視界の全てを桃色に染めた。


おめでとう、お幸せに。






















「もしかしたらここにいたのはあの子じゃなくて私だったのかもしれない」
とか心の奥底どこかでは思っているけど頭にまでは出さない主人公。

恋風2017やり過ぎだぜwwww
あれは完全に恋とか青い春とか初めての桃色便りとかじゃなくて
愛とか嫉妬とか私情のもつれとかも知っちゃってるやつですもん笑

恋風の発売から10年て意味で10て数字使いましたけど
大石が一番好きなキャラになって15年が経ってしまいましたひぃぃ。


2017/04/24