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「終わっちゃうなあ」


時計を見ながらぽつりとつぶやく私に秀一郎が反応する。


「ん、あと何分?」

「20分くらい」

「そうか」


あまり興味がなさそうに、
布団をめくって入ってくる。

私はごろりと寝返りを打って体に抱き着く。


「反応薄い」

「今日たくさんお祝いしてくれたから、もう満足だよ」


不満げに声を漏らす私を
秀一郎は上手にいなす。
むぅ〜…。


「消すよ?おやすみ」


そう言って部屋のライトを消すと、
おでこにチューしてきた。
そして、ゆっくりとした呼吸が聞こえ出す。

……それだけ?



「寝たら、明日になっちゃうよ」

「寝なくても明日にはなるよ」

「…あと15分くらいあるよ」

「だから?」



挑戦的な言葉。
まだ暗闇に目が慣れていなくてよく見えないけれど、
きっと、不敵な笑みをしているのが想像できる。


「せっかく誕生日なんだからさぁ、もうちょっと起きてようよ」

「俺はもう眠くなってきちゃったけど」

「…じゃあ、目が覚めるようにするから」


そう言って、今度は私からキス。
さっき秀一郎がしてきたよりも、
ずっと深くで長いキス。

それだけで今日の残りの数分使ったかな。でもさ。


「“寝るまでが今日”みたいなとこあるじゃん。できるだけ今日を伸ばそうよ」


どれくらい伸ばしてやろうか。
今日という日を。


ちょっとずつ目が慣れてきた。
秀一郎は、嬉しそうに笑ってる。

そして私のことを抱き返してくれる。
服越しだったぬくもりが、部分的に直に感じられる。


「今日たくさんお祝いしてくれたから、もう満足なんだけどな」

「じゃあ、この手は何よ」


あたたかくってくすぐったくて心地好い、
その手に愛しさを寄せながら
ゆっくりと二人の距離を縮めていった。





















思わず。
だって何も書かねぇで終われるか。

ていうか危うく裏々じゃねえか笑
寸止めしてるので、セーフ!!!


2016/04/30