* 気付いてるよズルイね私。 *












今日は、今までの人生で一番落ち込んだ日。



大切な彼氏と別れを遂げた。




そのとき、どうしてその人に連絡したいと思ったのか。
私は気付いたら大石のメアド宛にメールを送信していた。

どうして。


送信完了の画面を見つめながら理由を考えると、
どうしようもなく狡猾な自分の思想に気付く。


きっと、大石が私に好意を寄せてくれていることに気付いていたから。


今まで何回も、大石は私を好きそうな素振りを見せて、
だけどズルイ私は気付かないフリして
それなのにわざとあどけなく「ん?」なんて笑って見せて。

だけど優しいあなたは、彼氏が居ることを知っている私に対して
それ以上何かをしてこようとするはずもなく。


それが、彼氏と別れたから連絡する、なんて。
私のズルさも大概だな、と思う一方で、
きっとあなたなら喜んで優しくしてくれるんだろな、なんて。



ごめんね、やっぱりズルイね私。ごめん。

本当はあなたのことを考えてあげられるほど
今の私には余裕がないのに、
あなたが私のことを考えてくれることで
少しでも余裕を作ろうとする。


その陰でずっと一心にあなたが私に
優しさを与えてくれようとしていることに気付きながら。




だけど良いでしょ、今日くらい。
許してよ。
今までの人生で一番落ち込んでる日なんだから。


メールを読んで驚いたあなたが電話を掛けてきて、
それに応える私がとんでもなく鼻声なことで
またあなたを驚かしてしまう、そんな想像をしながら
震えてくれるのを待って携帯電話握りしめているよ。






















良い人ほど付け込まれて心に傷を増やされる世の中じゃ…ポイズン(何)

心が弱ってると甘えたくなるよね。
それを大石は優しく受け止めてくれるんだろうけど
大石が優しいほど罪悪感が募る主人公と
本当は告白したいくらいだけど別れた直後だから気を使って何も言わない大石。
でもたぶん予想だけどこの二人はくっつかない。(予想て)


2015/12/11