* 季節外れのsnowy day *












4月8日。

新学期が始まって、桜の季節もそろそろ終わり。
春も本格化してくる頃合い。


「おはよ〜」


いつも通り待ち合わせ場所に着いて声を掛けて、
相手は「おは」まで言いかけたけど。


「なんでそんなに薄着なんだ!?」

「え?」


自分の全身を見回して、
もっかい秀一郎の方を見返して苦笑い。


「だってもう冬物のコート全部クリーニング出しちゃったもん」


指先までしまえるように引き伸ばしてた袖、
ぷらぷら〜ってさせながらけろっとして言ってやった。

そしたら、ちょっといらついた風に
「ああもう」
って言いながら、
「持って」
と傘を差しだしてくると、
秀一郎はコートを脱ぎだした。

あれ、やっぱりこうなる?


「いやいや、秀一郎寒いっしょ」

「いいから」


でもさぁって言うのも聞かず、
「ほら着て」
って。羽織らせてくれながら。

ごめん…
って言いながら顔を見上げたら、
何も言わずに二人分傘を受け取って。


「俺が、が風邪ひくのが嫌なんだよ」


だってさ。


あり、がと。
そういうことなら、と有難く着させて頂くことにした。


高校の制服は、少し袖が長くて、
スカートの丈が短くて。

それよりも長い袖と、
お尻まですっぽり隠れるコート。


「見てみて何も履いてない人〜」
なんておちゃらけたら
「ふざけてないで行くぞ」
って傘を差しだしてきて、
受け取ったら背を向けられちゃったけど。

あったかいなぁ。


「お願いだから風邪引かないでよ?」
って体を少し寄せながら言ったら、
こっちを見ないまま
「そういうことは自己管理ができるようになってから言え」
だってさ!


照れちゃってさ。

ばれないようにくふふって笑いながら、
自分の傘を畳んで中に潜り込んだ。
秀一郎は何も言わなくって、そのまま、学校まで歩いた。


天気予報だと、帰る頃には止んじゃうっていうから。
この季節じゃあ、積もったりはしないだろうし。

今だけでも、楽しんじゃっていいよね?






















先日の雪を受けまして一弾。
ちょっと堅物大石ね。
『たまにはこっちの立場』とか『郵便屋さんの落し物』みたいな。
どっちかの続きなのではないだろうか。

怒ってるとは微塵も思わず
照れちゃってさーとか言ってるこの主人公の打たれ強さw好きww


2015/04/12