* 振替誕生日 *












9月1日、今日から新学期。

そして今日はオレの誕生日。


「……なわけねーだろ」

「へ?」


ハッピーバースデーと書かれたカードのついた包みを
指でつまんでぶらぶらさせながら、
笑顔のは眼前でしらばっくれていた。


「何、いらないの?」

「もらう」

「…欲しーんじゃん」

「そうだけど、っつーか、そうじゃなくて」

「どっちだよ」


あーげないっ、と言って、
はヒョイっと腕を高く上げた。

だけどオレは席から立ち上がると
いとも簡単に奪い取ってみせる。
目の前でぱちぱちとは瞬きをする。


「桃城…背伸びた?」

「ん?ああ、測ってねぇけど伸びたかもなー」


最近体中の節々が痛ぇしなー痛ぇしよ。

肩をぐるぐると回して、もう一度、
手に掴んでいたそれを見やった。


「これ、オレが貰っていいんだよな」

「うん。どうぞ」

「…あの、オレの誕生日一ヶ月以上前なのわかってる?」

「わかってるよ!」


バカにしないでくれるー、という態度を取って。
でも、だったら何故今日。
何故当日ではなく…ああそうか。

夏休みだったからか。

……。



ー」

「なにー?」

「来年は、当日にくれたりしねーの?」


ぽんっぽんっ、と。

小包を宙に投げてはキャッチして。

隣を見たら。



「何さ、来年は当日に会ってくれんの?」



なんて、ニヤッとした顔でこっちを見てきて。

敵わねぇなあ。



「…敵わねぇよ」

「へ、なんて言った?」

「これあんがとっつったの!」

「どういたしまして!」


何故かケンカ口調になって。
は自分の席に戻っていこうとするから。

なんとか呼び止めたくなって。


「あ…あのさ!」

「え?」


振り返った顔がさ。

予想以上に……可愛くてよ。



「来年とか…覚えてるかわかんねぇしさ。
 ……とりあえず今日、一緒に帰らねぇ?」


自分がなんて言っているのかもよくわからず
そんな言葉が口から出てた。

やっべ恥ずいはなんて返してくるだろ、
なんてどぎまぎしていたら。

思いもしない、素直な返事で。



「了解っ!」



目元に当てたピースと一緒にウィンクが飛んできて。

心ン中が、あったかくなって。


あれっ?

もしかして本当に、今日オレの誕生日だったかなー…なんつってな。






















桃ちゃんの誕生日祝いたいなーと思ってたけど
うっかり当日過ぎちゃったので、
過ぎちゃったからこそ書ける話はないか、
と考えてたら閃いた。
てわけで7月末に閃いたけど今頃執筆。笑

元々仲良しで、お互いなんとなく
両想いなんじゃないかなーと気付きつつも
言葉でそれを言い出せてないー、的な!
呼び止めてくれないかなーと思いつつ主人公はその場を離れたら
本当に声が掛かって嬉しさ隠せず振り向いたら
その笑顔にあてられちゃう桃ちゃんとかね!
だって中学生だもの!
いやー青春ラブっていいよね!!!(声を大にして)

桃ちゃんお誕生日おめでとうー(←)


2014/09/01