* 500回目のプロポーズ *












気付けば付き合って12年超えた。
遠距離っていう障害も乗り越えた。
何度もケンカして、同じだけ仲直りして、
たくさんの思い出を抱えながら過ごしてきた。
色々な、色々なことがあった。

だからそろそろかな、とは正直思ってたよ。



「ちひろ、結婚しよう」



小さなリングと一緒に、その言葉が贈られてきた。


予想はしていたはずなのに、
言われたときのその気持ちは、想像をはるかに上回っていて。

涙が胸の奥から喉元まで押し寄せてきたいみになって、
少しかすれ気味の声で

「はい」

と返事をした。


大好きな人と結ばれることは、こんなに幸せなんだ。
こんなに幸せで、いいのかな。


一生に一度きりのプロポーズ。



「泣くことないだろ」

「だって…!」



頭を胸の中に抱きかかえられて、
その温かさと、安心感と、
これなら顔は見られないやって思ったら
余計にボロボロ涙が溢れてきてしまった。



「だってだって!一生に一度だよ!」

「そりゃそうだけど…」



秀一郎は一旦そう言った癖に、
すぐに言い直して。



「俺は、500回くらいしてきたつもりなんだけどな」

「は、どういうこと?」



そんなにされてた!?私ってどんだけ鈍感!?
と思ってガバと顔を上げた。

目の前で秀一郎は笑ってた。
私、今めっちゃ涙目だし鼻とか真っ赤なんだろな。
でも今更、隠すこととかないし。



「12年前に突然『結婚しよう』って言われても承諾しなかっただろ」

「当たり前じゃん」

「だから、今日はそれまでの積み重ねってこと」



「…意味わかんない」

「だよな」



私のストレートな返事に秀一郎は苦笑してた。

でも、いいんだ。こんな私で。
ずっと一緒に過ごしてきて、
きっと嫌なところかもあっただろうに、
それでもずっと一緒に居てくれて、
これからも一緒に生きていこうっていう。そういう。



「500回目まで言わせてくれてありがとうな、ってこと」



そうか、途中で離れてしまっていたら、
今日はなかったんだ。
499回目までの一個一個は思い出であると同時に
今日までの準備でもあったんだ。



「ほら、右手出して」



言われるがままに手を差し出して
薬指に、銀色のリングが…ピッタリはまって。

なんと、なんと幸せなことでしょう。



「言いたいこと…たぶん、わかった」

「そうか」



今日は一歩目じゃない。
ましてや最後の一歩でもない。
今まで歩いてきた道の続きを、これからも歩くんだ。




ありがとう。
そしてこれからもよろしく。


永遠の愛をアナタへ。






















大石作品500作目記念!

プロポーズは一生に一度なんだろうけどさ、
それを言うに至った経緯とか受け入れるか否かとかって
それまでに培ってきた体験と関係に寄るわけだから、
最後に留めを刺したってだけで、
今までの発言一個一個が、ていうか、全部ひっくるめてプロポーズ!
みたいなもんなんじゃないのーっていう話。笑

大石のお陰で永遠の愛を信じるようになりました。
これからもずっとずっとイッヒリーベシュウ\(^o^)/

それにしても500作て。笑


2014/04/30