* 君行き片道切符 *












「ねーねー、大石って好きな人いんのー?」



ある日突然、好きな子にそんなことを聞かれた。

よりによって君に。




「え、どうして」

「だって気になるじゃん。最近学年で付き合い出した子いるせいで
 突然周りが恋バナブームだよ〜」



なんだ、そんな理由か。

だよな。
別に、が俺に個人的に興味があるだなんて…
そんな都合の良い話が、あるわけないよな。




「で、いるの?」




嘘を吐こうか。

はぐらかそうか。

迷ったけれど。


まさか、君だなんて言えないけれど。



「い、る」


口はそう動いていた。



「え!?ホントに!?」

「ちょっ、誰かは教えないぞ!?」



は興味津々の笑顔で話に食いついてきた。

この反応は…脈なし、だろうか。
好きな人がいない可能性もあるが、
少なくとも俺のことが好きではない…ように感じられた。

だって、自分の好きな人が他の人を好きな可能性を感じたら、
笑ってなんていられないだろう?



…今の流れなら、聞ける、かな。




「そういうは好きな人いるのか?」




意を決して聞いてみた。
平静を装っているけど、本当は、心臓がバクバク言っている。

は、きょとんとして。

直後に、笑った。



「教えなーい」

「どうしてだい、ズルイだろ」



普段の俺ならそんな深追いはしない。

でも、君だから。

どうしても気になってしまうから。


そう思ってスタスタと逃げる
ズンズンと追いかけた。すると、
立ち止まったは、くるりと振り返って。



「他の誰に教えてもいいけど、大石にだけは教えらんない!」


「え、それはどうし」




て。



理由に気付いてしまった気になって、言葉に詰まった。



固まってる俺を見ると、は。




「わかるだろ、バーカ!」




言葉は悪かったけど、
明らかに声色は怒っていなくて。

笑っていて。

それは、照れ笑いだとわかった。


そのはにかみを見ていたら、
先ほど自分が気付きかけていたことは、
真実であるという確証が強まってきたようだった。



俺まで、釣られて笑えてきてしまった。






















「わかるだろ、バーカ!」のセリフには
1.あんたなのよ察しなさいよ
2.言わせるんじゃなくてあんたが言いなさいよ
の二つの意味が込められているのです。
たぶん大石は一つ目の理由だけ察してウホウホ満足して、
決め手となる告白を相手にしてあげないから
「いつになったら言ってくれるの!?もういい!!」てなって
結局主人公の方から告らされるハメくらうんだと思うw


2014/04/09