* まだまだ成長過程 *












それは、学級委員である大石と
屋外の用事を終えて教室に帰ろうとしたときのこと。


「お疲れさま」

「よーっし部活だー!」


教室に戻って、荷物を拾ったら部活動だとは張り切る。
大石も、同じくテニス部の活動があった。
大会も来月に迫っているので早く練習に行きたかった。

上履きに履き替えて、立ち上がろうとしたら…。


「!?」

「大丈夫大石くん!?」


立ち上がり切れずに大石は地面にへたり込んだ。
額を手を押さえると地面の一点を見ようとしたが、
どうにも視界が揺れて焦点が定まらない。
立ちくらみのようだった。
はそんな大石の背中を支えた。


「ああ…最近、急に背が伸びたから…」


ハハと大石は笑った。
しかしすぐに表情を顰めさせて、
「体重はほとんど変わってないから…貧血かもしれない」と言った。

そんな大石を見かねて、はその横にしゃがみ直すと
背中側に手を張り出して「ほら、乗って!」と言った。


え、と一瞬ためらってから

「いや、無理だよ!」

と大石はそれを拒否した。
しかしは譲らない。


「大丈夫!私お兄ちゃんだっておんぶできるもん!」


自信満々にそう言い放って、最後に兄をおぶったのは
自分が小4、相手が小6のときだったと思い出した。

かたや大石は、遠慮したい気持ちは山々だったが、
再度立ち上がろうと試みただけで頭がくらくらとしたので、
申し訳ないと思いながら「ごめんな」との背におぶさった。

やるしかない。は覚悟を決めた。


「よーっし、いくよ……よっと!」


意外にも。

すっと立ち上がれた。


こう見えて女子の割には力ある方だしね、
運動部やってて良かったなー、と思いつつ。
いや、それよりも。


「(…本当に、軽い)」


覚悟していたよりもはるかに軽かった。
体重があまり変わらないまま背ばかり伸びた、
という言葉は本当のようだった。

中1のとき、身長で(一方的に)競い合ったことがあった。
ちらっと覗いたら、体重は…少し向こうの方が軽かった。
今でこそ向こうの方が10cm以上背が高いが。


「しっかりつかまっててね!」


よっほよっほ、と歩を進める。
階段いらないから良かったねー!と言いつつ。
3年の下駄箱から保健室までは、同じ階の廊下の端と端だ。


…恥ずかしくないのかい」

「だーいじょうぶ人なんてこの時間全然いないよ!」

「そうか…」


確かに、用事のない人は帰宅しているであろうし
部活は活動時間の真っ最中だった。

でも…。


俺はちょっと情けないな、
と思って大石は苦笑した。

もっと、体重も増やして力も付けて、
頼ってもらえるような男にならないといけないな、と
大石は背中のの上で誓うのであった。


もうすぐ最終学年。






















どう考えても大石とブン太の体重は誤植なのわかってるけど
夢を見ずにはいられないww

小石から大石に進化したころの話だと思います。成長期萌。


2014/03/14