* なにより おいしい ひなまつり *












「ひなまつりだな〜」


嬉しそうに、感慨深そうに、シュウはそう呟いた。

どうした。
ひなまつりは女の子イベントでしょが。


「ひなまつりだと何かあるの?」

「え、どうして?」

「なんか、やたら嬉しそう」


するとシュウは、ちょっと照れ臭そうに鼻の頭を掻いて、
「小さい頃の癖が抜けないんだよな」
と言った。クセ?


「癖と言いますと?」

「いや、ほら…ひなまつりって、はまぐりのお吸い物が出るだろ」

「それが?」

「ほら、俺の好物だから」

「そうだっけか」


そう言われてみたら、そんなこと言ってたような?
どうも忘れっぽくてかなわんわ。


「妹はひなあられが大好きなんだけど、俺はお吸い物が楽しみでさ。
 待ちきれなかったの思い出すよ」

「ふーん」


嬉しそうに柔らかく話すシュウ。

春みたいだなぁ。
さすが桃の節句だ。


「だから、二人ともひなまつりは大好きだったよ」

「まあ、美登里ちゃんはわかるよ?女の子の日だしね?でも、シュウは…」

「そう言うなよ」


シュウ苦笑。

ふむぅ…。



二人が小さい頃かぁ、どんなだったんだろ。

やっぱりシュウは真面目だったかな?
美登里ちゃんはちょっとおしゃまなイメージ。





  **





『おかあさん、ひなあられー!』

『ダメよ、ご飯の後って言ったでしょ』

『えー、食べたいのにー!』

『ご飯の食べ終わったらあげるから!
 ほら、お兄ちゃんはもういい子に座って待ってるわよ』


『………』





  **





「ふひひひひ!」

「どうした?」

「可愛いなぁ小石!」

「小石?」


シュウは眉をしかめてる。

そんな背中をばしばし叩く。


「なぁに、ただの妄想ですよ!」

「はぁ…」


想像だけで楽しくなっちゃう私も幸福者だね、
でもなんでだろね、そんな姿が自然と浮かんだんだよ。



「私はちらし寿司が好きだな〜」

「それもいいよな」

「っていうか食べれるものなんでも好き」



そんなこと言って、笑い合った。

春は、もうすぐそこ。






















スマホ30分作w

はまぐりのお吸い物にワクテカする小石を書きたく。
逆に、ひなまつりに何か良い思い出があるから
それが好物になった、てのも良いと思うんだけど。
いやでも敢えて小さい頃から味覚がオッサンな大石であれw

なんかひなあられ食べたくなったな。
明日になれば半額で売ってるよね(←)


2014/03/03