あの頃に比べれば、素直になったと思うよ?


あの頃って言うのは、
周助と付き合い始める前。

周助のことが好きって認める前。


それでもやっぱり、私はまだまだ意地っ張り。











  * これが私の素直な愛情 *












気付けば、付き合い始めて3年か。
良くもまあ飽きずに続いてるもんだね…。


「おはよ、

「おはよ」


朝の待ち合わせも、慣れたもの。
すっとそのままの流れで学校に足を向ける。

初めは先に来て待つのが悔しくって、
かといってあんまり待たせて借りを作るみたいにも嫌で、
電信柱の陰に隠れてうろうろしてるとこを見つかったこともあったな…。


「ね、。今週末」

「ん?」

「2月28日金曜日。3月1日土曜日」


理解した。
今年は29日がない年だから、二日間に分断されちゃってるけど
今週末は周助の誕生日だ。

周助の誕生日がやってくると、
卒業シーズンだなーとか思い出す。


「あー…もうそんな時期か。年度も終わるわけだ」

「ちょっと話逸らさないでよ」

「わかってるって。何欲しい」


彼氏の誕生日だっていうのに楽しそうな声色すらしない、
自分は相変わらずだなーと思うし、
そんな私の横でにこにこしてる周助も大概だと思う。




「ん、何?」



「だから、な……」


なんでそんなに何回も呼ぶんだ、と思って顔をそっちに向けて、
気付いてしまった。

周助は横でにこにこなんてしてなかった。し、
別に私のことを呼んでたわけでもなかった。

これは、返事だった。


「…それ、欲しいもの?」

「うん」

「え、えーっと…」


それは、つまり?

いやまあ付き合い始めて3年以上経つし、
我々も気付けば良いお年頃。

もしかして、ついに、そういうアレ?


そうこう考えてるうちに学校に着いて、
靴を履き替えて階段を上る。

今の私たちの会話、学校でしていい話題?
別にそんな変なワードとかは出してないけど。
いやでも若き男女が。不純異性交遊。
なんか校則に引っかかったりしないかしら。

えーっと、えーとええと…。



「さっきも言ったけど」



返答をできずにいる私に、周助が補足を加えてくる。



「2月28日、金曜日。3月1日、土曜日」



……これまた、
良い曜日ですこと。


「考えといてね」


ぽんと肩を叩くと、周助は3組の教室に入っていった。
私は隣の隣、自分のクラスである5組まで向かって中に入った。


……ただでは終わらなそうな、今年の周助の誕生日。






  **






なんだかどぎまぎしたまま、一週間が過ぎた。
私、どっかへんじゃなかったかな。

周助は別段変わったとこなくいつも通りで、それがまた悔しい。
きっと、私がどぎまぎしてるの見て楽しんでるんだろな。
といっても表面上は出してるつもりはなかったけど、
周助には、なんでも見抜かれちゃうからな。



気付けば金曜日、下校時刻。


、帰る?」


掃除を終えて荷物を拾ったところの私に、
タイミングよく周助が話しかけてきた。


「うん、帰る」

「良かった、一緒に帰ろ」


嬉しい。
だけど、そんなときでも照れ隠しで嫌な顔をしちゃう私。
…なはずなんだけど、今日は結構本心で眉を顰めてしまった。


心の準備が。

間に合ってない。


「部活は?」

「ないよ。週を明けたら、卒業式だし」


そっかー…。
そうだよね、今日はそれで午前で終わりなわけだし。



「てわけで、帰ろうよ」



手を差し出してきた。

普段なら払いのけちゃうかもしれない。
周助もそれ前提で差し出してきてる感はある。

だけど手を取った。


周助は「おや」という顔をして
少し嬉しそうに目を見開いた。


「どうしたの」

「…ルサイ」

「え?」

「………お誕生日おめでと」

「ありがと」


周助は手を強く握り直してきて、
廊下に居る人たちの目線を浴びながら私たちは下校する。

先生が通りかかって、私は咄嗟に手を離そうとしたけど
周助は手をぎゅっと握ってそれを許さなくて、
でもうまい角度で鞄で隠して、
笑顔で「さようなら」なんて挨拶してる。


……悔しい。

けど、好き。



…えーっと。
このまま私は、どこに連れていかれるんだろ。

まさか、ホテルとかじゃないよね!?
私たちまだ高校生だよ!?
今時それくらい普通なのかな!?
いやでも制服でそんな…。

とか考えながら手を引かれるがまま歩いて、
辿り着いたのは、周助の家だった。
いや、まさか…ねえ?ご家族もいるのに。

って、なんか自分から期待してるみたいでイヤだけど…。


「お邪魔しまーす」

「いいよ、気遣わなくて。今日誰もいないし」


…あ、そ。
まあそれは良くあることだけど。


あれか、人がいないうちにやることやっちまおうって魂胆か、
幸い今日は午前中で終わりだったから夜になるまでまだまだ時間はある。

でも、周助、あんなに金曜日だ土曜日だとか強調してたのに…。


そんな考え事で目線をぼーっとさせてたら、
周助は私の目の前に紙を差し出してきた。
手に取って、適度に目から離して呼んでみる。
何々…。


「温泉旅行…」

「そう。由美子姉さんが、父さんと母さんにプレゼントしてた」

「え?」

「で、その由美子姉さんも外泊」


え。

見上げる。



「たぶん、僕へのプレゼントのつもりなんだよねー…」



そう言って、周助はこっちを見た。

開眼。
本気モードのやつだ。

と思ったら、フッと表情崩して。



「とりあえず、お昼食べようか。スパゲティでも作るよ」



ぱたぱたと周助は階段を下りて行った。
それを追いながら、私の頭の中は、ぐるぐる。


……今日。は、

とてもとても、特別な日になりそう…だ。





  **





とはいえまだ真昼間だしなー、と思ってたんだけど。

周助の作ったお昼食べて。
写真撮って。
おやつ食べて。
テレビ見て。
夕ご飯はピザをオーダーして。
またテレビ見て。

そんなことしてたら、あっという間に夜更けになっちゃうもんだ。


「さて、と」


テレビもだんだんつまらなくなってきたところで、
周助はリモコンに手を伸ばすとプチンと電源を落とした。


「そろそろ、寝る支度でもする?」


寝る支度。
その、寝る、というのは……。


「お風呂沸かすよ」

「あ、ありがと」


周助はお風呂場に向かっていった。

ぽつんと取り残された。
仕方なしに、携帯を弄ってみる。
でもなんか落ち着かない。
色々連絡来てるけど、返事はまた今度。

テレビ、消さなくても良かったのに…。


と思ったら、周助はもう戻ってきた。
そうか、今流行りのワンタッチのやつか。セレブ一家め。


「一緒に入る?」

「ばっ!何言ってんの!!」

「冗談なのに。半分本気だけど」


そういって周助はにこにこ笑ってる。
もう、なんなのこいつ本当に一体…!



「たぶん15分ぐらいで沸くから」

「あっそ」

「あ、テレビ消すことなかったね」



とか言いながらリモコンに手を伸ばしかけて、
周助は「そういえばさ」と切り出してきた。



、今年はないの?プレゼント」



……。


「…ないよ」

「え、ないの?」



白々しい。

それとも、本気で言ってんの?



「だって、私なんでしょ…?」



顔は背けちゃったから、周助の顔は見えない。
私も、どんな顔していいのかわからない。

そしたら、クックッ、という笑い声が聞こえて、
それは、次第に爆笑に変わっていった。


「な、何よっ!!」

、なんだかんだ乗り気じゃない」


だ、だって…。

顔が真っ赤に染まるのを感じる。
顔が熱い。燃えそう。


「……帰る」

「まあ、そう言わないでよ」


腕を握るとぐいと引いて、
…予想以上に強く引かれて、
バランスを崩した私は周助の腕の中に転がり込んだ。


「わ!」

「はい、今夜は帰さないよ」

「…何そのテンプレみたいなセリフ」


下から見上げて、顔が近くて。

目が合って。

チュッ、とキスをした。


周助はキスがうまい。
といっても他の人と比べられないからわからないけど。

周助とのキスはキモチイ。


「ン…」


鼻の奥の方から、吐息に近い声が漏れた。
それでも口は止まらない。
少しずつ角度を変えながら、
唇はすべての面を接触させて、
舌は奥に侵入してくる。

とろけそう…。


最後に、チュッと音を立てながら口を離された。

ゆっくりと目を開くと、
見たことのないような表情をした周助がいた。


ヤバイ。

本能的にそう察した。


「しゅうす……んんっ!」

、可愛い。大好きだよ」

「はっ…だ、ダメ……あっ…!」


服越しに胸を揉まれる。
布が擦れて先端が敏感になる。
出したくないのに、甘い声が、勝手に出る。

そして、またディープキスをしながら、
服が脱がされ始めた。

お風呂に入る準備ではないことくらい、私にもわかる。


「ちょっ、お風呂は…」

「いいよ。後で一緒に入ろう」

「え、やだ!だって汗とか…しゅうすけ!」

「ダメ。待てない」


必死に抵抗しても、無駄。
シャツのボタン全開にされて、
インナーも胸のあたりまで捲られて
スカートの中のタイツは膝まで下ろされて、
一気に全身はだけてる私。



「周助、私、心の準備がぁ…」

「何言ってるの



周助は私の顔の両側、ソファに手を着く。
これは乙女憧れの体制ってやつ。



「誕生日プレゼントでしょ」



あ……。

そう言われちゃうと、抵抗できない。



そうだよ。
素直になれない私なりに、
どうしたら周助が一番喜ぶかなって考えて。

本当は、心の準備だってまだできてない。
正直いうと、ちょっと怖いよ。


でも、周助が喜んでくれるならって。

相手が周助ならって。



「返品不可だよ?」

「大歓迎」


「捨てないでね?」

「んなわけないでしょ」


「…周助」

「ん?」




3年間もあれば、

トゲだって多少は丸くなるよね。





「お誕生日おめでとう。ダイスキ」





その一言が、合図だったかのように。



全身にキスの嵐が降ってきて。

脱げかけだった服も取り払われて。


死ぬほど恥ずかしい。

でも今日の私は、プレゼントなんだ。



今日の私は、なんだって出来そう。

あとで後悔するのかもわからないけど。

いつもより、ちょっとだけ大胆で、
素直すぎて怖いくらいな私でも、いいよね?



「…

「……固い、んだ、ね」

「びっくりした?」



周助の下半身の中心部分に、自ら触れてみた。
初めて触れ合うそれに、心臓がドキドキした。


「ん、ちょっとびっくり…」

「でもこれが、これからの中に入るんだよ」


そう言って、周助はズボンのチャックを下ろした。
手を掴まれて下着越しにそれに触れさせられた。

さっきよりも形がモロに感じられて、
そして何より、熱い。


そう思ってたら、周助は下着も脱ぎだして、
ついに、××(ピー)に初にお目にかかることとなった。


うわぁ。

なんか、グロイ。
グロイけど、エロイ。


「咥えてみて」


なんて、言いやがる。

顔を見上げた。
これは、いじわるで言ってるやつじゃなくて、
本気で言ってるやつだ。

咥える…咥えるのか、これ。
何これ、みんなこんなことやってんの!?


恐る恐る手に取って…固さと熱さに驚いて、
そっと咥えて…みた。

こんな、感じか、な…?
もっと知識を蓄えておくべきだったー、
と思いつつ、よく分かんないけど上の方をペロペロ舐めてみた。
これでいいのかなー…。


「ごめん、やっぱいい」


周助は焦ったように腰を引いたので、私も顔を離した。
どうしよう、やり方変だったのかな…。


「ありがとう。気持ち良くてすぐイッちゃいそうだからここまでね」


不安に思っていたら、そう言って周助に頭を撫でられた。そして、

「イクのは、の中にするね」

そう耳元で囁かれた。
ゾクッとした。


そして、とあることに気付いた。


「…そういえば周助」

「ん?」

「アレ……持ってるの?」


アレって、アレです。
ほらあの、避妊するのに使う、ゴムゴムですよ。

焦る私に対して、周助はあっけらかんとした表情で。


「あれ、誕生日プレゼントに用意してくれなかったの」

「えっ?!」


マジか!
言われてみれば私をプレゼントしたのは私なわけで、
そのつもりなんだったらその際に必要なものも
準備しておくのが確かに筋だったかも!
でも!準備してない!
かといって、な、ナ×(ピー)はまずいよね!?
だからって今ここでやめろって言われるのも!
どうしよう!バカ!私のバカ!!!



「仕方がないね、僕が用意したやつ使おうか」



そう言って、にこっと笑った。


バカ。
周助のバカ。


「マジやめてよそういうの…」

「驚いた?」

「驚いた…てか、ちょっとムカついた」

「ごめんね」


髪を撫でられた。
あやされる子どもみたい。
…実際子どもなんだろうけどサ。


「僕の部屋、行こう?」


コクンと頷いた。

差し出されたので手を取って、歩き出す。
何かこんなことあったなーと思ったら、
そうか、今日学校であったことか。
なんか、遥か昔に感じる。


全裸で廊下を歩くのもなんかな、と思いつつも
手を引かれるがままに歩いて、階段上って、
周助の部屋に入った…途端にベッドに強引に押し倒された。

これはドSモードか!?と思ったけど
予想に反して、額に優しいキスが降りてきた。


、ありがとうね」


そう言って、柔らかく笑った。

ありがとう?


「なんのお礼?」

「だって、プレゼントでしょ」

「あー…そういえばそうだった」

「だから」


そこまで言うと、またキス。
何回も口を塞がれる。

…なんだか、私がプレゼントをもらってるような気持ち、
だなんて、言ってやらないけど。

でもそんな感じだよ。


キスをしながら、胸を揉まれて。
その手が、するりと、お腹の上を通過して、
下腹部…そして、私の大事な部分に、触れた。


…すごい濡れてる」

「うそ…」

「キスでそんなに気持ち良くなっちゃったの?」


んなわけないでしょ!

いつもだったら、そう反論する場面かもしれない。

でも長年付き合ってれば、そんなのも見抜かれちゃうって諦めてるし。
何より、今日の私は、
周助の誕生日プレゼントなんだもの。


「うん。キモチイ」


周助が、嬉しそうに笑うのが、見えた。


「ここは?」

「っ…あ!」


ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てながら掻き混ぜられて。


「こっちは、どうかな」


その指が、少し奥の方に…。


「痛っ!」


・・・・・・。


「初めて、だよね」

「当たり前でしょ」

「やっぱ、痛い?」

「うん、痛い」


周助は自分の指を見つめてる。
この太さでもかー…って、とこだろう。

でもね、私はご存知の通りの天邪鬼。


「だからさ」


困惑した様子の周助に向けて、
まるで余裕あります見たいな不敵な笑みで。



「指とかやめて、早く周助の挿れてよ」



えっ と。

さすがに驚いた様子の周助の顔が見えた。



「何言ってるの、

「いいからさ」



今日の私は

ちょっとだけ大胆。



「周助だって、挿れたいんでしょ?」



自分から足を開いてやった。
ああこれ、絶対にあとで後悔するやつ。

でもいいや。
あとのことは後で何とかする。


「本当に、いいの?」

「うん。あ、着けてよ」

「わかってるけど…」


周助はなんだか心配そうにしながらも、
ゴムを引き出しから取り出すと自分で装着した。

そして、対面。


ゴクッと周助が唾を呑み込むのが見えた。
そうだ、こう見えてやつも人の子だった。


「本当に、いいの?」

「だからいいってば」

「無理そうだったら、言ってね」


そう言って、周助のモノ、が、当てられた。
場所を探るように表面を滑らせてるけど、
当てられるそのモノが、熱くって固くって、
それだけで感じちゃいそう。

でも、さっきゴム着けてたよね?
てことは、このヌルヌルしてんの全部私なの?
自分の体ですら信じられない。

ようやく場所を探り当てたらしい周助は、一箇所で留まった。


ふと視線を上げる。

やや上気した顔と目が合った。



…挿れるよ」

「ウン」



周助が、グ、と腰を突き出してきた。

ぬぷ、と変な感触がする。


何か、固くって、熱くって、重い。

なにこれ……。



更に体重が加わって、

ズ、と。



「ぃつっ!」

「大丈夫?」



―――――――。

む。



確かに、普通に見たら「優しいな」って
思う部分なのかもしれないよ。

だけど、私の素直じゃなさはお互い公認。


いいえ。

私は素直です。

ちょっとひねくれてるけど、
いつだって本心。

直球勝負です。



「もっとチョーダイ」

「…了解」



遠慮なしに、身体は更に進められていく。

こんな私を分かってか、
それともこれが奴の本性なのか、


本当に…き、キツ……っ!



「(いいい、痛い痛い痛い)」


「本当に大丈夫なの?」

「っいいから!!」

「顔引き攣ってる」



……敵わない。



ハァ。

息が零れる。



いつの間にか汗だくになってる自分に気付いた。

対して目の前の人は、涼しそうな顔…アレ?
よく見たらこの人も汗だくだ。なーんだ。



「そっちこそ、結構必死でしょ」

「…かもね」



…こういうところで。

この人は、素直だから。


敵わないなぁ。




、本当のこと言って。…痛い?」

「…いたくない」

「………ホントに」

「っ―――!」



少し体を進めるだけで、

激痛。



「無理しない」

「でもっ……?」



周助は、私の手を取るとそっと開いた。



「ほら」

「……うそ」



いつの間にか手を握り締めていたらしくて、
手のひらに爪が食い込んで内出血してた。
見た目グロイ。

でも、手の痛みなんて全然気付かなかった。
一体今、私の身体の中は…どうなっているんだろう。


「しゅうすけ、確かにちょっと痛いけど…」

「ほら。手、回して」

「……?」


周助は私の片腕を取ると、背中に乗せさせた。



「爪立てていいから」

「え、でもそれじゃあ周助が…」



周助は。

にこっ、と微笑むと、
ちゅっと軽くキスをくれた。


「大丈夫。僕Mだから」

「……嘘つけドSのくせに」


クスクス、と周助は笑った。

もう、こっちの気も知らないで。


「確かに、普段はヤサオトコとか言われるけど」

「ぶっ!ぅぐ…」


笑った途端に、激痛。
悪いことは出来ない。

周助は、にこっと笑って言う。


「…でもね、に心配されるほどはヤワじゃないって言いたいんだ」

「はい。笑ってすみませんでした」


周助の笑顔ほど怖いものはない。

だけど、これほど大好きなものもない。


本心だよ。



「じゃあ…いくよ」

「うん」



私は手のひらで周助の背中を抱いた。
女の私が羨ましくなるくらいすべすべで
私を最後の最後まで躊躇わせた。

けど。



「あ…ああああっ、あぁ……」

「息、ゆっくり吐いて…」

「はぁっ、あ……ふ、ぅん…!」

……カワイイ」



そっと降ってきた言葉は、
半目で受け止めた。

霞んで見えた笑顔が、格別だった。


なんでも受け入れられる気がした。



「しゅすけ…もっと、動いて」

「平気?」

「なんか…目覚めそうな気がする」

「なに、本気でM気質だったりする?」



周助からそんな言葉を聞くのは不自然な気がして、
それ以上に自分に、違和感があって、
だけど、受け止められるよ。なんでも。


身体が更に奥に進められて、
痛みは走ったけど、違う何かが、上回り始めた。


「もっと…」


無意識に、口から零れていた。

普段は、これを言ったら相手がどう思うとか、
自分が恥ずかしいとかそういうことばっか考えちゃうのに。

もう頭、パンクしそうだよ。


「あっ、あっ…あ!アッ…!」

「だいじょう、ぶ…痛く…ない?」


自分の聞いたことのないような艶めかしい声が出て驚いた。
出してるんじゃなくて、体から勝手に出ていく感じ。
痛いのか、気持ち良いのか、痛いけど気持ち良いのか、
それとも痛いのが気持ち良いのか。
分からないけど喘ぎ声が止まらない。

周助の言葉も途切れ途切れで、息が荒くて、
実は周助も必死なんだなって。
それでも私のことを心配してくれてるって。

それだけが私の意識を繋ぎとめてた。


、本当に気持ち良い…イクの勿体ない」


そう言って周助は動きを止めてキスをする。
そのこと自体は嬉しかったけど、
さっきまでは痛キモチイみたいになってたのが、
さすがに、痛いばっかりになってきた。

早く、終われー!!


「…ごめんね、痛いよね」

「え?」


心の声、漏れた?
と思いきや。


の想いは、僕の背中に伝わってるからさ」


あ。

すっかり忘れてたけど、私は周助のことを凄い勢いで爪を立てて引っ掻いてた。
無意識過ぎて謝ることもできない。

そっか。
一緒に痛みに耐えててくれたんだ。


「本当はもっと繋がってたいけど…また今度ね」

「うん…」

「大丈夫だよ」


口には出さなかったけど、
私が申し訳なさそうにしたことに気付いたのか、
周助は私を安心させるような言葉を選んだ。


「じゃあ、もうイクね」


そう言って、腰を何回か前後させると、
周助は眉間に皺を寄せてイッたみたいだった。

ズルンとモノが引き抜かれて、ようやく圧迫感から解放されたけど
その後もまだヒリヒリするしズキズキする。


荒い息が整ってきた周助は、

、大丈夫?」

と聞いてきた。
私は返事をする気力もまともにない。


「あ…ちょっと血出てる」

「うそ」


布団にも付いちゃったみたい。
申し訳ない…けど不可抗力…。


でも周助は、気にしないよ、とでも言うかのように
こちらを向いて顔をほころばせた。


「気持ち良かったよ。イクの我慢するの必死だった」


優しく髪を撫でられて、
やっぱり私がプレゼントもらったみたいな気持ちになって。

でも、もう当分やりたくない…と思って。

でも、またやりたい、とも思って。



「あ、日付変わってる。やー良い誕生日プレゼントだったなー」



いつもだったら、憎まれ口の一つや二つでも利いてやるところあけれど、
今はその元気もない。

ただただ、あなたへのプレゼントであれますように。



「次はの誕生日かな?そのときはもイカせてあげるからね」



そんなことを言って、周助は満足げ。
もう、今日はなんでもいいよ周助が喜んでくれれば…。


周助は横に寝転んだ。

綺麗な顔がすぐそこにくる。



「ありがとね」

「……おめでと」



どういたしましてっていうのもなんか変だと思って、そう答えた。
周助は嬉しそうに笑う。


もいつもこれくらい素直なら可愛いのにな」

「悪かったわね可愛くなくて…」


ぷいと顔を背けたけど、手で引き戻された。



「ウソ。世界で一番が可愛いよ」



そう言って髪を優しく撫でられる。

それはあんたの世界ででしょう?なんて反論してやろうかと思ったけど、
好きな人に一番可愛いと思われてるなんて、最高じゃん。

普段素直じゃないから、なんて返していいか分からなくて
さっき出し渋ったのに結局「ありがと」って返した。


なんかちょっとおかしくって笑っちゃった。

周助も笑った。



今年の周助の誕生日は、とてもとても特別な日に、なりました。






















5年越しで完成!不二たま!不二たま!!
書き始めたの2007/05/22だって!笑!
ちなみにその段階では裏々部分しかありませんでした(←)

てか久しぶりに本気出して裏々完成させたよ…。
お陰で『The Dreams have become a Reality』に似かけた。
同じとこに収束しちゃうんじゃ、と思って冷や汗ww

私には珍しいツンデレ主人公(素がデレデレだからw)
でもこの二人の組み合わせ好きなんだよね。
不二のドSっぷりが際立つのが良いじゃん(←)

由美子姉さんにもそろそろ幸せになってほしい(笑)


2014/02/28