* テスト前一週間限定 *












7時台、学校に到着。
シンとした廊下を歩く。

そして教室に入って電気を点け…アレ?


……ああ、そうか。



「おはよ、大石」

「ああ、おはよう。早いな」



それはこっちのセリフだよ、って言いたい。
大石がいなければ、私は必ず一番乗りなのに。


朝、学校に来て大石が教室にいると
もうすぐテストだなって思い出す。

テストの一週間前になると、朝練と昼練がなくなるんだって。
それでもいつもと同じ時間に起きちゃうから
ものすごく早く登校しちゃう、って話を前にしたことがある。



「もうすぐテストなんだねー」

「そうだな。は勉強してる?」

「全然」

「そうか」


そこで同調の言葉を述べてこないのは、あなただからなんでしょうね。
きっと大石は、勉強してるんだろな。


「今回範囲広いよねー特に数学!」

「そうだな」

「暗記系じゃないだけマシだけどさあ」


あ、でも、予習復習が日課な大石にしたら大した問題じゃないのかな?
どうしたら毎日コツコツとかできるんだろ。聞いてみよっかな。

なんて考えてたら、遠くからガヤガヤと声が近付いてきた。


クラスメイトが登校し始めたみたいだ。
いつの間にか8時を回ってる。



「はよっす」

「おはよー」

「はよー……って!大石がいる!
 テストまで一週間切ったってことじゃねーかあ!!」



一気に教室が騒がしくなる。
そっか、指標にしてる人、私だけじゃなかったんだ。

ぷくくって笑って、横を見る。
ちょっと困ったように、大石は肩を竦めてみせた。


いつもは朝練中の時間なのにね。
こうやって話せるなんて、嬉しいなあ。



「あー!テストなんて一生来なきゃいいのに」

「無茶いうなあ、は」

「大石にはわかんないよ、私の気持ち」



そう言ったら、大石は「そんなことないぞ」って否定した。
絶対、私の真意になんて気付いていないくせに。



「いつも、クラスの朝ってこんななんだなって。なんだか羨ましくもあるよ」

「そお?騒がしいだけじゃん」

「んーまあそうだけど」



否定しないんだ…と心の中だけで笑って。

教室には人がどんどん増えて、
さっきより大きな声で話さないとかき消されそう。



「こうやって・・・とゆっくり話せる時間も、なんだか貴重だしさ」




・・・と?

誰と?



「……え?ごめんよく聞こえなかった」

「あ、いや、なんでもないよ!」



大石は言い直してくれなかった。

聞き漏らした部分を自分の中で考える。

それは、クラスメイトとって意味なのか。
私とって意味なのか。

……。


本当に聞き取れなかったのが憎らしい。

静かな教室だったら、絶対に聞き逃さなかったのに!



テスト一週間前か。
よし、明日から、いつもより10分だけ早く登校しようかな。


遅かったら、誰かが来ちゃう。
早すぎたら、あなたもいない。

たった一週間限定なんだから、わずかな時間も大切にしないと。






















くっそ不二BDなのに(笑)
不二夢書こうと思ってた結果がこれだよ(笑)

3年2組は、大石が朝に教室に居るのを見て
テスト前を察知するんだったら楽しいなあって話。
んー、実際はテニス部毎日朝練はしてなさそうだけど
この話ではそういう設定ってことでw


2014/02/28