* 質より量よりなんとやら *
「本当にお医者さんってモテるのねえ」
ゴールデンウィーク最中の誕生日。
職場から帰った旦那はとんでもない荷物を抱えていた。
許可を得て開けさせてもらったけど、
高そうなものから、手作りまで様々。
おいおい、バレンタインならともかく誕生日にここまでやるって本気じゃなかろうかね…。
既婚ってのは職場でも知られているみたいだけれど。
医者って大体の人が愛人作るとかいう噂も聞いたことあるし…。(末恐ろしや)
「えーっと…受け取らない方が良かったか?」
「そんなこと言ってないでしょ!感心してるだけ」
そんなこと言いながらもちょっと言葉を荒げてるのは、
少しは嫉妬もあるのだろうか。
貰ってることにもそうだけど、どちらかというと、
そんな一生懸命になれる人たちに。
「……これ、私から」
「ありがとう」
「たいしたことなくて、ごめんね」
ぷいと顔を背ける。
もう少し、気合い入れれば良かったかなーとか後悔。
そりゃ私も、昔は色々手の込んだことしてたよ。
ケーキ手作りなんて当たり前、
手紙書いたり、その手紙にポエムなんて添えてみたり(黒歴史)、
一緒にどっか行ったり豪華な食事したりサプライズ企画したり、
手間も時間もお金も掛けて、色んなことやってたよ。
お陰で学校遅刻しかけたこともあったし、
放課後ダッシュで帰ったこともしょっちゅう、
どんだけ飲んだくれても終電には意地でも帰った。
仕事初めてからも、この日だけはなんだか落ち着かなくて、
残業しないように必死になったり、
GW真っ最中で有休取れるか駆け回ったり…。
だけども12回目ともなると。
さすがに情熱は冷めてもくるか…。
今回のプレゼントを思い返す。
一応色々考えて選んだものではあるんだけど…。
なんだか、豪華なプレゼントの数々を見たら自信を失ってしまった。
なのに目の前にこの人は、にこりと笑って。
「一番嬉しいよ」
「なんで」
さらっと髪を撫でてきながら。
「がくれたものだから」
……このすけこまし。
「それに、もう一つプレゼント、あるだろう?」
「え?」
ニコッと笑って。
「にしかくれられないもの」
「…なるほどね」
仰せの通りに、と言わんばかりに、
首に腕を回してキスをする。
ここから先は、アナタにしか見せない私、
私にしか見れないアナタ。
これだけは誰にも譲れない。
皆さん凝ったことしてらして感服だわよ。
私には情熱はちょっと抜け落ちてしまってるわよ。
でもねだけどもね、愛っていうか情みたいのがあるお陰で
私は誰にも負けられない。て話。笑
大石ハピバ!
2013/04/30