* コーディネートはこうでないと! *












「彼氏ができたー!?」

「うん!」


なんと。
天然ぽわぽわだから油断してたけど、親友に先を越されるとは。

でも素直に嬉しい!


「やったじゃーんおめでとう!」

「ありがとー!」

「で、相手は?」


えへへ、と笑うとは嬉しそうに喋り出す。


「知ってるかなぁ?2組の大石くん」

「あいつかー!テニス部の!あと保健委員長だったよね?」


そうそう〜と嬉しそう。
くっそ、ばっちりのろけやがって。
正直羨ましいぞ…?

背高くて、スポーツできて、しっかりもので、優しい彼氏か。
そういえば勉強もかなり出来てた覚えがある。
やるな…。


「でね、日曜日に部活お休みだからってデートすることになったんだ〜」

「そっかーそりゃ良かったじゃん…ってうぉ!?」

「どうしたの?ちゃん」


ガッと肩を掴んだ。


、土曜日の予定は!?」

「んー?空いてるよ〜」

「じゃあ!私と遊ぼう!二人で!」

「ほんとに?やったー!嬉しー!!」


ぱちぱちと手を叩く。
可愛い。しかもまったく計算でやってないのがスゴイ。
なるほどー大石は…っていうか男は、こういう子が好きなのか…。


でも、そう…そうなんだよ!


この子、私服ヤバイんだったー!!!(マジでマジでマジで)



とてもじゃないけど、いつもの装いでは
彼氏との初デートに向かわせることなんてできない!

というわけで、このちゃまが一肌脱ごうってわけ。


「じゃあ土曜日、買い物行こう!お金持ってきてね」

「は〜い」


なんの疑問も持っていなさそうに、は嬉しそうに手を上げた。
ああ、本当に良い子なんだよなあ。
ただファッション方面にまで気が回っていないようで…。






  **






土曜日。

やっぱり、今日これを予定して良かったと心底思った。



「(それはパジャマか〜!?!?)」

「いい天気になって良かったね〜!」



楽しそうにしてくれちゃって!


なんだそのキャラクター物のトレーナーは!
(中学生がシナ●ンロールなんか着るな!)

下はスウェットなのか!?何素材だそれは!
(少なくともオシャレな一品ではないのは確か)

靴が!今時マジックテープはないだろ!
(マジックテープが許されるのは小学生までだよねーキャハハ)

リュックそれ自作だろ!?小学校の家庭科の授業で作ったやつだろ!?!?
(私も使ってるけどさ…体操着入れだよ……)


今日は、仕事のし甲斐がありそうだね。



「さあ、早速行くよ!」

ちゃん何お買い物したいの?」

「……アンタの服だよっ!!」

「えー!私ー!?」


そんなこんなで親友の天然っぷりに
癒されたりイラッとさせられたりたりしながら、
お買い物は着々と進んだ。






そして夕方。

なんとか全身コーディネートが完成した。
(それにちゃんと安いお店で選んでやった。全身締めて諭吉以内に抑えた)



「いい?明日は必ずその服を着ていくんだよ!
 あとは自前の白いパーカー羽織ってけばいいから」

「うん!可愛いの選んでくれてありがとう!」



屈託のない笑顔で。

本当に、良い子なんだよなぁ…。
たまに自分が心の醜い人間に思えてしまうくらい。


大石、本当にアンタは良い子を選んだよ。
服装のセンスは、きっと少しずつ洗練されてくから許してやってね…。
(私もしばらく手助けするよ)



「それじゃあ、明日のデート頑張ってね」

「ありがとう!楽しんでくるね〜」



こうして、土曜日は幕を下ろした。





  **





日曜日。
今頃はデート中かー……。

私?私は自宅で絶賛ニート中ですよ。



大石か。
大石は、どんな服着るんだろうな。

大石のことそんなに詳しく知ってるわけじゃないけど、
すごく真面目で優しい人、という印象があるから…


無難にデニムにTシャツとパーカーとか?
そういえば背も高いしスタイルいいよね。
どんなものでも着こなせそうだな。
チェックシャツとかでも似合いそう。
色はやっぱり、爽やかにブルーとか……。



……なんか私、悪趣味だな。




「(なに人の彼氏の服妄想してんだよ!)」



ぼすっとベッドに倒れこむ。
天井を見上げる。

………。

私も彼氏欲しい、な。



こんな気持ちにさせられたのは、のせいだ。
あんなに可愛くて、そりゃあ、彼氏もできるわ。
私はー…人に構うばっかで自分はその気ないわなぁ。

あー。
いいなあ。
妬んだり羨んだりは私らしくないと思うけど。



なんでこんなにもやもやするんだろう。

考えてるうちに、分かってしまった。



私、大石みたいな人が理想の彼氏像なんだ。




背高くて。
スポーツできて。
しっかりもので。
優しくて。


こんな服着てたらいいなっての、
こんな服着てる人の隣を歩きたいなっていう願望でしょ?

振り返ってみれば、昨日の買い物だって、
に似合うもの」を選んだんじゃなくて
「私がデートに行くとしたら着たいもの」を選んだ気がする。


あーもやもやする。
まさか、こんな気持ちになるなんて。

明日、のこと、心から祝福できるといいな…。





  **






そうこうしているうちに週末明けて登校日。

いつも通り、嬉しそうに駆け寄ってくる



ちゃん、おはよう!」

「おはよ」

「あのね、昨日ね、すっごい楽しかったよ!!」



やっぱり、心の奥が モヤ っとした。
でも、笑顔は作れた。



「良かったじゃん」

ちゃんのお陰だよ〜!あ、あのね、プリクラ撮ったんだ」



鞄をガサガサと漁り始める。
見たいような、見たくないような。
…でもやっぱり見たいな。


プリクラを取り出すと、は「あ」と止まった。
そして申し訳なさそうに肩を竦める。


「あの…ちゃん、ごめんね?」

「えっ?」


まさか私の気持ちに気付いて…なんて思って一瞬ドキッとしたけど、
さすがにそんなわけないよね。

なんだろうと思ったら。



「大したことじゃないんだけどね…せっかくコーディネート考えてくれたのに、
 白いパーカー洗濯中で、代わりに青いのがあったからそれを着てったよ」



………。

大したことあるよ!!




だって、買った服ってピンクの花柄ワンピースじゃん!
それに青って!?え、
青の程度にもよるけど、ちょっとそれは上級の着こなしじゃないかい!?
素人さんが着るにはちょっと難しい…ていうかたぶん、私が思うに…

それは爆弾じゃー!!!



「あ、あったあった。はい!」

「ありがと…」



恐る恐る目を落とす…と。

や、やっぱり恐ろしい着合わせじゃ…!


でもまあ、ぽむ●むプリンとか着て行かれるよりよっぽど…。

って、え、はああああ!?!?




「なんだこれ!?!?!?」

「プリクラだよー?」




いや!違くて!
それはわかってるよ!

この、大石の服!!!



「だ、ダサすぎる…なんてレベルじゃねぇぞ…」

「あーやっぱり青いのまずかったかなー…」

「いや、じゃなくて、じゃなくて……」



ポロシャツが黄色と紫の太ボーダーってなんだよ!(略してキムラってか?やかましいわ!)
それに下が白のデニムとか攻めすぎだろ…(確かにスタイルは良いけどさ…)
しかもその髪型でキャップってなんだ?(オシャレか?日除け???)
そして首から下がってる十字架のチョーカーwww(厨二臭…!)



「どうしたの?大石くんどうかした?」

…」



プリクラをすっと返却すると、
の両肩に手を置いた。



「…あんたら、お似合いだわ」


「え?ほんとに?でしょでしょ!!」



嬉しそうだし。
ああ本当に、良い子だ。
人は見た目に寄らないよね。


私も、外見ばっか見てるからいけないのかな。

あーあ!

でもやっぱり……かっこよくてセンス良い彼氏ほしー!!



そんなことを考えていたら、
何かを閃いたらしいが「そだ!」と手を合わせた。




「もしちゃんにも彼氏できたら、
 私が一緒にお買い物いって選んであげるね!」


「……ごめん、それだけはお断り」


「えー!?」




外見であれこれ判断するのはどうかと思うけど、
それでもやっぱり、オシャレで可愛くいたいと思うのは女心よね。


私もいつか、素敵な彼氏ゲットできますよーに。

と大石、どうかお幸せにね。






















大石の私服のセンスが信じがたいレベルなので思わずw
でもたぶん、初デートするに至って彼も彼なりに
気合を入れて服を選んだと思われます。
センスぶっ飛んでる人って気合入れるほど悪化するものねwwww

しかし絶対この二人バカップルだわwww
『ハッピーエンド万歳!』の二人に似てる気がするもんw

いつもふわふわしたのが主人公でサバサバしたのが友人ってのと、
どうしても大石とくっ付くのを主人公扱いしたくなる節があって、
始め主人公と友人の名前を逆にして書いてましたw
でも夢小説としてそれはどうなのってことでこっちにしました。

Twitterの突発アドベントにて閃き。


2013/04/30