* ふとした拍子に *












って大石好きなの?」



始まりは、親友の突然の一言。



「なっ!………は?」

「まあまあ隠さなくていいからさ」



ホホホ、なんては笑ってる。
…でもさ。
そんなんじゃなくてさ。



「いや、別に好きとかない…」

「ウソだー私の目はごまかせないよ」

「いやいやホントに好きじゃないんだけど…」



面白がってるに対して、私は引き気味。

だって、私が大石を?
ないない…。


「あそ。じゃ、授業中なんで見てたの?」

「えー偶然目に入っただけでしょ」

「すんごい見つめてたじゃん?」



……そうだっけ。
自覚なし。

黙りこんだ私に、が嬉しそうに色々投げ掛けてくる。



「大石、自分から発言とかするもんねーカッコイイねー」

「煽っても無駄だから!偉いとは思うけど、
 どちらかというと自分から発言する人とかイイコちゃんっぽくて苦手だわ」


だよね?
…うん。
言った後に、言葉が心境と一致してるか確認したりして。



「学級委員もやってるしさ」

「はいはい偉いよね」


「地味に運動神経も悪くないよね」

「あーテニス部で全国行ってんだっけ」


「背も高いし、顔も悪くないよね」

「髪型ヘンだけどね」



けしかけると、冷めてる私。

感情がわかりやすく表情に現れるは、ぷくっと頬を膨らました。



「折れないね」

「折れるも何も、好きじゃないって」



だって、大石とか、ないでしょ。

違うでしょ?




「じゃあ、授業中なんで見てたのさ!思い返してごらんよ!」




それは……。


あーまたコイツ発言とかしてるよ、とか思って。
こんな授業のどこが楽しいんだろうなーなんて、
斜め後ろから顔をちらりと覗いてやって。


そしたら。


黒板に向かっていた視線が、窓の外に移って。



なんだろうと思って私も見たら、

風が、吹いてて。

桜が舞ってて。


大石の顔が、ふっと、ほころんだ。

こんなにやわらかく笑うんだ、なんて。



…………アレ?



「あれー……」

「どした」

「…好きかも」

「でしょー!て、え!?なんで突然!!」




大石なんて、偉い子ちゃんでイケ好かない野郎だし、
授業中発言するとこもスポーツするとこも
カッコイイなんてこれっぽっちも思ったことないけど。

でも、

でも……。




なんでだろう、ふとした拍子に見せたあの表情を

もう一度見てみたいと思ってしまっただなんて。






















せっかく良いとこいっぱいあるのに、そこは好きにならず
気を抜いた素の表情を見て好きになっちゃう話。
でも恋ってそんなもんだったりするじゃない!

大石夢久々書いたぞ!


2013/04/03