* 温かすぎる優しさ *
せっかく、久しぶりのデートなのに。
「、体調悪い?」
挨拶を交わして3秒後、彼は既に気付いてしまった。
「いや、大丈夫だよ」
「すごく顔色悪いぞ」
「気のせいだよ」
「!」
「……」
少し怒った秀の顔を見て、私は観念した。
「……ちょっとだけ頭痛い、カナ」
本当は若干熱っぽくもあるんだけどね、
そんなこと言ったら余計に心配されちゃうから。
私は笑ってそう言った。そしたら、
はぁ〜…と秀は深くため息を吐いた。
「だったら出る前に言えばいいだろう」
「だって、言ったら秀は中止にしようって言うでしょ!?」
「当たり前だろ」
「ヤダもんそんなの!」
ああ、叫んだら頭に響く。
秀のバカ。
「…俺はな、の体の心配をしてるんだぞ」
「……」
そんなの、わかってる。
だけど、私は……。
「……だもん」
「え?」
「無茶をしてでも、会いたかったんだもん!」
涙が滲む。
体が弱ると気持ちまで弱るからって参る。
すると、目元を擦る私の頭を、秀はゆっくり撫でた。
「大丈夫だから、泣くな?」
「………」
「とりあえず、どこか入ろうか」
そう言って手を引いて、デートが始まった。
喉渇いたからカフェでいいか?
なんて言いながら私を早く座らせたいのはわかった。
それでも歩く早さはゆっくりで、
手を繋いでるのに心配そうにこっちを何度も見て。
まったく。
秀は、すごいね。
私がワガママになればなるほど秀が優しくなってしまうみたいで、
私はなんだか不安だよ?
頼んだアイスコーヒーをブラックで飲みながら、
「そうだ、久しぶりにプラネタリウムなんてどうだ?」
なんていう提案。
本当は、遊園地とかカラオケとかゲーセンとか、
行きたい選択肢はいくらでもあったんだけと。
「うん。それがいいな」
申し訳ない気持ちもありながら、
だけどゴメンなんて言いたくなかった。
「ありがと」って言ったら
「何が?」なんてしらばっくれてるから
「もし寝ちゃったらごめんね」って
ペロッと舌を出して見せた。
まず一つ言いたい。
たぶん初めて、全文かな打ちで打ちきった!ww(修行中)
うちの大石はどうも主人公に振り回されがちなんだけど、
彼の真骨頂はこうやって人を気遣ってる側のときよね!
この前体調崩して一日潰しちゃったのよね、
文句言われないと謝ることもできないわ、てことで、
申し訳なさの文まで感謝しよう。ってかw
2012/09/06