* この中の何人が同じ思いで? *












「中学最後の授業だね」



横から声をかけられて、ハッとした。

はそれだけ伝えると満足したのか、
いつも通りに教科書ノートを準備し始めた。
そう、いつも通り。


木曜日の午後。

今日が、中学校生活最後の授業。


言われるまで気付かなかった。だって、
このあとも大掃除や学活で何だかんだ学校には来る。
学期末だ年度末だとは感じても、
最後の授業とまでは、気が回らなかった。


周りのやつらは――気付いているのだろうか。
もう試験も終わって、授業の内容も半ばお楽しみ。
受験組で学校に来てさえいない人もいるし。


やんわり。
おだやかな午後だ。

意識しなかったら、何一つ変わったこともない。
教室の中の一体何割、何人が、
この時間の特別さに気付いて過ごしているのだろう。


隣を見た。
――は、いつも通りだ。
ノートはちゃんと取って、でも端にはラクガキをして、
頬杖をついて窓の外を眺めてる。


いつも通り。

いつも通り?


さっき、「中学最後の授業だね」といったは、きっと、
今を特別な時間だと認識していて。

それでもいつも通り過ごしている。これは、
見方によっては特別なことなのではないだろうか?


と。


大きな あくび。

目が合った。


恥ずかしそうに、ふふっと笑ったは、
目の端に涙を溜めていて、
窓際だからなのか、眩しくて、
微笑み返すことも出来ずに視線を逸らしてしまった。


そうこうしているうちにチャイムが鳴った。



この掛け声も、あと何度。
授業終わりの号令を掛けた。

いつの間にか流れ作業になっていたけれど、
せめて今日だけでも、気持ち深めに、お辞儀をした。



ありがとうございました。






















本日学生最後の授業を迎えたので記念に。(笑)

主人公一人称だと言葉遣い砕けててもいいのかなって思うけど
大石なので、なるべく正しい日本語心がけましたw
私、これが自分の文体なのだと認識して以来
どんどん文法崩す方向で文書いてきたからなぁ(^〜^)

窓の外を眺める→居眠りをする、
に変換すれば今日の私が出来上がります(笑)


2012/07/19