* 嘘から出たリアル *
嘘、ついちゃった。
『おい、大石ってお前のこと好きらしいぞ』
本当は、すごく嬉しかったのに。
『お前はどうなんだよ』
後ろで慌てふためくあなたには、目を合わせられずに。
『別に、私は好きとかないから』
嘘、ついちゃった。
本当は、嬉しかったんだよ。
だけどそんな伝え方されて、恥ずかしくって、
本当のことが言えなかった。
もう、笑いかけてもらえないかな。
そのたびに私は嬉しかったのに。
今までいっぱいもらった笑顔を、裏切るようなことを言ってしまった。
大石くん………。
「さん」
ドキッ。
「さっきは、ごめんな。あいつら、悪ノリして…」
首を横に振った。
「俺なんかに好きとかって言われても、迷惑だよな」
迷惑…なんかじゃない。
ただ、間が悪かっただけで。
もしも二人きりで、君から聞くことができていれば、
こんなに嬉しい言葉はなかったのに――。
「でも、気にしないで。あれ、あいつらが勝手にいった、嘘だから」
え………?
「嘘、なの?」
「え?」
「私は………本当は大石くんが、好きだよ?」
気付いたら口から出ていた。
傷ついてもいい。
でももう、後悔はしたくない。
そっと目を開けたら、
顔を真っ赤にした君がいた。
「本当………かい?」
素直に頷いた。
「さっきは…迷惑だと思って、嘘をついちゃったんだ。本当は俺、さんのこと――」
やっと、君の口からホントウの言葉が聞けるね。
デリカシーがないクラスメイト。
でも結果的にはお陰でくっついてるっていうね。プスー!
気を遣うより、本音ぶつけてこうぜ!
2012/06/10