* 不純な動機で、イインカイ? *












「今日は委員会決めをします!」


HRの時間、先生がそういって教壇に立った。
でも…委員会だぁ?
そんなの私から一番無関係な言葉の一つだ!

アイツは…
自分から立候補とかしちゃいそうだなぁ。
それとも、人から推薦されるとか。


ちら、と隣の席を見た。

大石秀一郎。
クラス一の真面目君。
で、私の好きな人。

また同じクラスになれるなんて。
しかも席も隣だし。


「どうした?」

「う、うっせーこっちみんな!」


あああああやってしまった!
見てたのは自分のくせに!ぎゃあ!
どうして私は、こう、素直になれないかなぁ…。

はぁ。
大石は何委員になるんだろうなぁ…。

と、先生の一言。


「まずは学級委員から決めるぞー。
 そしたら残りは学級委員が中心になって決めてくれー」

「何それ、教師の怠慢」

「こら!」


思わず口をついて出た言葉で、クラス中が笑いに呑まれる。
どうも、私はこう人を食ったような発言が得意なようだ。

あーあ、大石とか絶対こんな人好きになってくんないよ。
でも性分なんだよなぁ…。
せめて笑ってくれてればいいけど白い目で見られてたらどうしよ。

と思って横を見たら。


「はい」

「どうした大石」

「いえ、あの…学級委員に立候補します」


ざわっと教室の空気が動いた。
さすがだよねーとか言ってる女子、
自分がやらなきゃいけない可能性が消えて喜ぶ男子。


しかし…学級委員立候補!
さすがだよ…ホントにさすがだよ…。
私なんて遠く及ばな…

ん?


気付いた。
ここで、私が学級委員とか立候補してみーよ。

大石は私のこと見直す!
そして学級委員といえば、
月一の委員会だけでなくて、
ほぼ毎日なんかしらの仕事がある。
放課後ハッピーライフが待っている!?



「よしじゃあ女子は…」

「はぁい!」



ものすごい意気込んだ声と共に手を上げた。
もう片方の手は机についてでっかい音を立てた。

周り中の視線を感じる。もちろん隣からも。


「どうした、?」

「どうしたじゃないよ!学級委員に立候補だって!!」



っえぇぇーーーーー!!!の声。
おぅおぅ、気持ち良いじゃねぇの。

コイツにやらせるなら自分の方が…
でもめんどくて手を上げない女子。
えっ何コイツ大石のこと好きなの?んなわけねーかがwでもなんで?
とか噂してる男子。(残念、アタリだよ!気付かれたくもねーけど!)


「どうしたんだよ!らしくねーぞ!」

「内申狙いだよバーカ!」


野次に対して、親指を下に向けて言ってやった。
爆笑するやつもいればずりーぞなんていうやつもいて、
ぶっちゃけ内申点なんて気にしたことなかったけど
本当にその気になってへへーんなんて威張ったりして。

と。



「私も、学級委員立候補します」



うっわーライバル出現!!!
しかも、クラス一しっかりものの器量良しさんじゃないの!!


「……譲ります」

「だっせー!弱ぇー!!」

「っるせー黙れ!クラスの平和のためを思ってやってんのがわかんねーのか!」


男子の罵声を受けつつ、自らも叫び散らしながら、座った。

結局、その二人が学級委員に就任することが決まって、
教室中が拍手で包まれた。私も手を叩いた。


もともと…向いてないよな、学級委員。
下心なんかで立候補した自分が悪い。

あーあ、変な気に駆られてめんどうくさい委員にならずに済んで良かった!
私は平和な平クラスメイトを貫こうじゃないの!


と、思っていたら。


「じゃあ、風紀委員はどうだ?先生が推薦するぞ。
 おーい、他に風紀委員やりたいやついるかー?」


……は。



「おいバカ!なんでそうなるんだ!
 私は学級委員がやりたかったんだ!」

「何いってんだ内申点つくのが学級委員と風紀委員だけだから
 優先的に風紀委員にさせてやろうって言ってるんじゃないか」

「(白目)」



変な言い訳したのが裏目に出たぁーー!
でも、今更、別に内申点が欲しかったんじゃなくて
大石くんと同じ委員会に入りたかったんですぅ、
なんて言えるわけないし言うわけないしよ!!


他に立候補の手が上がらない。
えええどうすんのこれマジで風紀委員?え?
風紀乱してるやつ代表のような私が風紀委員とか
ちゃんちゃらおかしくてへそで茶が沸く…ハッ、
もしかしてそれが目的か!?
風紀乱してるやつ代表の私が風紀委員になれば
クラスってか学校全体の風紀がよくなるとかそういう計算!?
ああもう他に誰か立候補しろ!手上げろ!ほらっ!


と思ったら手が上がったよっしゃー神の救い!

て、え、大石かよ!!
なんで!(白目)


「僕もさんを推薦します」

「ぬわに言ってんだよ大石!!!」

「だって…さん、言葉遣いはこうだけど無遅刻無欠席だし…」


おいおいおいそれは褒めてんのかけなしてんのか。


「青学はもともと自由な校風だから、
 彼女みたいな人が風紀委員になるのも悪くないと思います」


…そういう理由、か。
割とポジティブな理由で私は感心したよ。

周りを見回すと、コイツが風紀委員はまずいだろ…
的な雰囲気をかもし出してたやつらも
顔を見合わせながら、案外アリなんじゃね?とか話してる。


…マジか。
大石くんのオスミツキってやつか。



「委員会なんかでは学級委員と風紀委員が合同でやることも多いし。
 よろしくな、

「……そこまで言われちゃ、しょうがねーな」



そんな態度を取ったけど。

なんだこれ。
楽しい放課後ハッピーライフの始まり、かな?

拍手なんて起こりはしないけど、
それどころか笑いに包まれながら、私は風紀委員となることになった。


大石は教室の前に出ると教壇の前に立って、
相変わらず爽やかにクラスを取り仕切り始めた。



「それでは、残りの委員を決めたいと思います。
 まずは男子の風紀委員からー!」



悔しいけど、カッコイイなーなんて思ってしまった。

私も、いっちょ頑張ってみっかな。
不純な動機から始まったとはいえ、
それがきっかけで一歩近づければな、なーんて!






















なんでこんな子が大石を好きになったかと小一時間ww
んーたぶん、挑発的な態度だと思います。
大石ってたまに、Sっ気発揮するよね。そこかと。
この作品の大石はその傾向強めだしねーw

「はぁ!?これ全部私がやんの?無理だよ!ドS!死ねっ!」
とか言ってて、大石はハハハと笑ってれば楽しいと思います(うっとり)
ああ、続き書きたくなってきたなぁww
こういう口の悪い主人公好きw


2012/05/08