* 夢のような、夢のお話。 *
、14歳、彼氏あり。
勉強得意で、スポーツは平均並。
吹奏楽部所属で、委員会はナシ。
趣味は……
「あー、また小説書いてる」
「!」
ばっとノートを閉じて振り返った。
親友のが、ニカッと笑ってた。
「いいじゃん、見せてよ」
「絶・対ヤダ!」
「ケチ〜」
は口を尖らせる。
私はそそくさとノートを机にしまった!
「なんでそんなに拒むの」
「やだよ恥ずかしい」
「減るもんでもないじゃん」
…減りますよ。
私のライフが。(ドン★)
「もしかしてアレ?今流行りのBLってやつ?」
…流行ってるかはおいといて。
「私は腐女子じゃない!私は…」
ド、
まで言いかけて口をつぐんだ。
危ない危ない、
てかパンピー相手にこんな躍起になることはない…。
「…とにかく、見せられないから」
「ちぇ〜」
チャイムが鳴り、は自分の席に戻った。
次の授業が始まる。
次は…社会か。
よしよし、内職がしやすいぞ、と私は再びノートを机の上に出す。
授業が始まる。
先生の様子を伺いながら、授業用のノートの下に趣味用のノートを仕込む。
ちら、と見やって、
書かれた名前を確認して、
言えるはずないな、と再認識。
そこにはこう書かれている。
『大石はの手を取ると、それを優しく引きながら』…云々。
そう。
私は漫画好き以上腐女子未満、
夢屋と書いてドリーマー。
読むのも好きだけどそれ以上に書くのが好き、
萌えを自給自足している日々。
「、帰ろ」
「あーごめん今日ヒロトと帰るわ」
「なーんだ。わかった」
滝瀬ヒロト。
私の彼氏である。
「あ、噂をすれば、来てるよ」
「ホントだ。じゃまた明日ね」
「うん。バイバ〜イ」
廊下に立つその人の元へ向かう。
「帰ろー」
「おぅ」
肩を並べて廊下を歩いて、
下駄箱で靴を履きかえた。
そうしてまた歩き出そうとしたとき。
「ん?」
「え?」
ヒロトは、眉をしかめると、
腰を少し屈めて私の顔を覗き込んでくる…。
どきまぎ。
「まつげ」
「あ、ありがと」
ヒロトはスッと私の顔からそれを払った。
これは……
なんという小説のネタ!!
「(今の!イイ!しかも大石は175cmて設定だから、ヒロトより8cmは高い!神!!
もうちょっと口調を柔らかくして、表情も穏やかめで、あ、
うっかり肩に手なんて添えられちゃったら…!)」
「おい、どうした」
…ハッ。
「いやいや!ハハッ!牛乳飲んでる?」
「うっせーよこれでも2年ときより10cm伸びてんだよ」
いけないイケナイ。
現実から小説のネタを探してしまうのは私の癖だけども、
リアル彼氏からネタとしての萌えを見出だしてしまうのは悪い癖だわな!
ヒロトのことは、ホントに好き。
一緒にいて楽しいのはもちろんのことだし、
こんなに私のことをわかってくれる人はいないと思う。
だけど…もしも、もしももしも、
迷ってしまう可能性があるとしたら…
「(大石が3次元に現れたら、だな)」
「おい、聞いてたか?」
「聞いてたよー!」
「どうせまた小説の内容でも考えてたんだろ」
……ははっ。
当たらずとも遠からずですよね…。
(ヒロトは私を純粋な文学少女と思ってる様子)
「んじゃ、気をつけて帰れよ」
「うん、また明日ねー」
分かれ道で手を振って、私たちは違う方向へ歩き出す。
「(2次元のキャラが3次元に現れるなんてはずないし、
これからも私とヒロトは安定だよねー!なんてねー!)」
と。
「え」
ぐら、っと。
「え、お、おわわわわーーーー!!!」
歩き慣れたはずの石段を、数段転げ落ちた。
* * *
「イタタタ…」
「大丈夫ですか?」
「うん、肘と顎ぶつけたけど案外無事ー…ってえぇっ!?」
なんか聞いたことある声だと思ったら、
目の前に居たのは…!
「オオイシー!?!?」
「あ、ありがとう。やっぱり知ってくれてるんだ」
いや、いやいやいや!
知ってるも何も!
何言ってるのアンター!!!
「は?だって、え、嘘だ!人間!?」
「まあ、普通信じられないよな」
いやだって。だってですよ。
大石秀一郎って二次元の住人じゃないですか。
私は二次創作でドリームとか書いてるけど。
それはたとえるならば私が二次元に行ってるわけで。
二次元のキャラが三次元にやってくるのは実写版で十分。
なのに…どうして。
「いつも…小説書いてくれてただろ?」
「は、ハイ…」
「お陰で、こうして会えて…嬉しいよ」
嬉しいよて。
嬉しいけど嬉しいけど。
どうしてだよ。(←リアルなツッコミ)
でも、私には分かる。
これは…本物の大石だ。
だって。
喋り方とか、表情の作り方とか。
些細なしぐさとか。
全部全部…私が思い描いてきた大石そのものだ。
「今まては画面越しでしか会えていなかったけど、
こんな顔でこんな声をしていたんだな」
ドキ。
本当に、大石だ。
大石が3次元に現れたんだ…。
「信じらんない…」
「うわ、ちょっと泣かないでくれよ!」
大石は、焦った風に少し取り乱して、
観念した風に眉をしかめて、
腰を少し屈めて私の顔を覗き込んでくる…。
どきまぎ。
「女の子の涙は、苦手なんだ」
そう言って、指の腹で涙を拭った。
ドキドキドキドキ。
どぎまぎ。
なんだこれ。
「死ぬ…」
「わ、ちょっと!!!」
身長差萌え。
その言葉、口から出す気力もなく、私の意識は宙を舞った。
遠い遠い意識の彼方、
「おい大丈夫か、おい、おい!!」と、
なんか聞き馴染みのある声が、
何度も私の名前を連呼していた。
ああ私、
アナタがいる世界に生まれて良かったわ。
アナタに出会えて良かったわ。
アナタさえいれば、他はどうなったっていい。
これからも、私と一緒にいてね。
そんなことを、心の中で呟いていた。
夢のような、夢のお話。
こういう、さもアホなことを真面目にやるのがかくれんぼ(笑)
『現実を繋ぐ痛い夢』と似たかな?w
きっかけは、自分の発言
「今の彼氏と別れる気は(少なくとも今は)更々ないが、
唯一、大石が三次元に現れたら迷う(←)(…)」
より。(笑)
いや実際目の前に大石現れたらどうしよう…が悩みという平和脳www
2012/04/27