* Can't call you anymore? *












、もう俺たち別れよう」



突然だった。
ううん、前触れはいくらでもあったのかもしれない。

例えば、会う頻度が減ってたとか。
なんとなく携帯いじってる時間が増えてたとか。
笑い合うことより喧嘩することが多くなってたとか。


あれ、もしかして原因の半分、以上、私のせい?


でもそんな突然。



「なんで、秀一郎!?だってこの前まで…」

「ごめん……



終わった、んだ…。
両肩に手を置かれて、首をうなだれてるの見て、ああ終わったって確信した。
驚くほどあっさり。

でもそうか、それはそんな仕種にじゃなくて、
そもそも耳のもっと奥に届いてたんだ。






―――それから、一年。


君は今どうしてる?
なんてしょっちゅう考えてるわけじゃないけど、
たまにそんなことを思っては
まだ忘れられない自分に浸ってる気もする。


君のことだから、お勉強頑張って、テニスも頑張って、
それこそ女の子なんて見向きもしないみたいな感じなんだろね。

現に付き合ってた当初なかなか会えなくなった理由の一つはそれだった。
私は何にでも真っ直ぐで一生懸命なあなたが好きで、
でもそれゆえに苦しむことが増えてた。

つまり、限界だったんだよ。
私のわがままなんかで、あなたの良さを潰せない。
続けたとしても先の見えた付き合いだったんだ。
突然の別れを私は恨んだけど、
今では、そちらも辛かっただろうによくぞ切り出してくれたと感謝している。


もう君の名前を呼ぶことは二度とないのかな。
もう一度会いたいと願うのはいけないことかな。

なんて考えていたら。



「………え?」



ホン、トに?
まさか、願いが届いたなんて非現実めいたことは思わないけど。



君がそこにいた。



私は、降りた遮断機の手前。
あなたは私の肩の高さの、ホームの上。

あそこまで、距離はほんの10数メートル程度。
でも、あそこまで行くのにどれだけかかる?



カンカン踏切が鳴り響く。

ズレてランプが点滅してる。




電車が、来る。

ホームに着いちゃうよ。



「ぉいし…」


涙が、


「おおいし……」



ダメ、

こんなんじゃ大きな声で呼べない。



プシュー。

ドアが、開く。


軽快なメロディが響いて聞こえる。




「っ…っ…!」




大きく息を吸い込むと、肺が震える。
少しだけ、頑張ってよ。





「ッ………シュウイチロウ!」





切ったような、声。



戸惑った肩が、振り返っ、た。





「……?」





名前を呼んだあなたは、どんな気持ちだったろう。
その後ろでドアが閉まって、電車が走り出すのが見える。

涙が止まらない。



「どう、した?」



電車が行き去って静かになったホームの上からあなたは戸惑いがちに聞く。
しゃくり上げが止まらない私は、
開いた踏み切りの真ん中で「今すぐそっち行く」とだけ残して
走って駅の改札へ向かった。


なんで涙が出てきたのかわからない、けど、
今なら、あの頃話せなかったことがもう一度話せるそんな気がする。






















意味不明ですみませんwひらめき突発。
付き合ってた人が別れて、それまで使ってきた
親しい間柄ゆえの愛称はどうするか、て話。
あとは、大石から別れを切り出すとしたらの理由を考えてみたw

後半が途中から現実込みなのね。でも私は声を出せなかった。
自分が出来なかったことを達成して頂こうて気持ちの現れかね。
気付いたら5年半も経ってましたがw


2012/04/05