* 逃げ足遅くも追いつけず *
今年は、
いつも短い2月が、
ほんのちょっと他に近付く年。
「お誕生日おめでとう」
教室に入るなり、大石に言われた。
おはようじゃない言葉が聞けるのは、とても珍しいこと。
「ありがとう。これで4人目」
「他は?」
「母さんと由美子姉さんと、英二だよ。英二、廊下で待ち伏せしてた」
アイツらしいな、と大石は笑う。
本当に、大石は英二が大好きなんだから。
「何歳だっけ」
「4歳」
「じゃなくて」
ああ、真面目な方か。
君らしいね。
「16歳だよ。一緒でしょ」
「そっか」
しっかりしているようで、
どこか抜けてるよね、大石って。
人が良い君らしいけどさ。
なんて考えていたら、大石はふっと笑って。
「高校生になったんだなあ」
なんて言う。
「どうしたの、今突然」
「ん?不二、中学校の間に自分の誕生日なかっただろ」
…ホントだ。
「よく気付いたね」
「そうかな」
ははっ、と大石は笑う。
相変わらず爽やかだなぁ。
「だってやっぱり2月29日って、なんか特別だろ?」
自分の誕生日だから余計かなって思ってたけど。
そうか。
他のみんなも意識するんだ、やっぱり。
「明日から3月だな」
「うん」
「もうすぐクラス替えだね」
「そうだな」
一緒に過ごした一年間が、終わる。
そう考えると、なんだか勿体ないような気もして。
「来年はどうなるだろうな、クラス分け」
その笑顔を見て。
まさか、また同じクラスになればいいね、って
思っているのが僕だけでなければいいのにな、って思った。
そんなことを考えているの、僕だけなのだろうけれど。
「僕は一度、手塚と同じクラスになってみたいかな」
「そうかぁ?何も悪さできなくなるぞ」
「悪さなんて元々しないから」
「だよな」
こんな、やり取り。
していられるのはいつまでだろう?
1月は行って、2月は逃げるんだっけ。
だとしたら、今年の2月は、ほんの少し逃げ足が遅いかな。
だけどもうちょっとゆっくりでもいいのに。そんなことを考えた。
不二大ww高1で同じクラスて設定w
まさかの不二片想いwwどう見ても大石これ英二大好きだよww
誕生日なのにwwwwサセンw
中学校の間は絶対に2月29日来ないんだよね、てことで。
あと、2月の逃げ足がゆっくりめて表現が我ながら気に入った。満足。
2012/02/29