「俺、海堂と桃城の関係を見守ろうかな」

ぽそりと、乾が呟く。


「へー………ぁあ゙!?」

聞き流そうとしていた不二がすごい剣幕で振り返る。


「どうしたの…乾!?
 もしかして熱でもあるんじゃ…!」

「いや、そうではなく…」


言い終えるより早く、不二は乾の額の両側を掴み、

自分の額を近付け、

遠ざけ、


ヘッドバット。



……。


スローモーションで乾はベンチから転げ落ちた。
(だけどメガネはBU・RE・NA・I☆)


「乾!?倒れるなんて相当熱があるんじゃ!?」

「わずか0.1秒の接触で俺に熱があるかどうかわかるのか…すごいな不二は(パタン)」

「いぬ、い……?イヌイー!!!!!」



そんな、熱はないけど海堂君にお熱(はぁと)、
な乾の物語である。











  * This is the FUJIxINU quality! *












「ぃ…ヌイ…イヌイ…イヌイっっ!!」

「はっ……」

「乾っ!起きてっ!無理はっ!承知っ!吐いてもっ!起きて!」


パーリラッパリラパーリラ\ふぅふぅ!/
なんて聞こえそうなテンポで往復ビンタを食らわせられ、
乾は意識を取り戻し…たけどまた飛びそうだけどなんとか保った。


「不二、そろそろにしないか…」

「乾!?良かった、僕の愛が通じたんだね!」


上半身を起こした乾に不二は嬉しそうに抱きついた。
(頬が完全に真っ赤に腫れ上がっているのには気付いていない。)


「乾…倒れる前に言ったこと覚えてる?」

「ああ…ちゃんと倒(さ)れる前に言ったことは覚えているぞ」


中指でついと眼鏡を上げた。


「じゃあ……本当に海堂君と桃の関係を見守るっていうんだね?」

「……」


不二が心配そうに見上げる。
乾は少し黙り込んだが、遠くの方を見ながら言った。


「俺が海堂のために愛のCupidになるのも
 悪くないのでは…と思ってな」


以前に林大介のことをボロクソに言ったあんな日こんな日…。
については気付かないふりをしてもいいし
気付いた上で、ああ乾ってこういうやつだった、と思っても結構である。


「わかるか、不二!?
 キューピッドではなくキューピッ!と発音するのだ!!」

「寄るなキモイ」


鼻息が荒い乾が自身の半径約60cm(※腕の長さ)以内に
入って来れぬよう制した上で、不二が問い立てる。


「でも、本当のそれでいいの?あんなに大好きだったじゃない海堂君のこと!」

「いいんだよ…不二。俺は、海堂が幸せなら」

「乾……」


少ししっとりとした風が吹く、そんな秋が始まりかけたある日。


「乾、大丈夫か?」

「手塚」

「乾お礼言っときな、地面に倒れた君を手塚と桃がベンチに寝かせてくれたんだよ」


一番近くにいたお前は手伝わなかったのか、
というツッコミは禁止である。(ほら、僕、非力だしっ☆)


「すまなかったな、手塚」

「体調管理は基本だ。大丈夫ならコートに入れ、
 まだ調子が悪いなら帰ったほうがいいだろう」

「いや、練習に戻るよ」


あれ、俺って体調悪かったんだっけ?

なんて疑問を抱きながら乾はラケットを掴んでコートに入った。
(なんだか頭を打った影響か記憶が曖昧だ…やはり調子が悪いのか。)


「あっ乾先輩もう起きて平気っスか!」


元気良く桃城が声をかけてきた。

今までの乾だったら、
「敵にかけられる情けは持ち合わせていないぃぃぃ!!」
なんて鼻息をもふもふさせているところであったが、
今日の乾は違った。

「さっきはありがとうな、桃城」
なんていいながらクールに横を通り過ぎていくのであった。



「……重症、か?」



不二だけが一人、不穏な空気をよぎらせていた。





  **





なんだかんだで部活は終了した。
その後の乾の取った行動は、データ取り。海堂の観察。
それだけを見れば今までとなんら変わりはなかったが…

ノートの中身↓

従来:
 今日の薫たんは練習前にグラウンド30周!-(自主的に偉いぞぅ!)
 バンダナの色はお気に入りの緑
 水分補給の回数…2.3回/時 ←多い。今日の気温が30.6℃と高いせいか
 グリップが古くなってきている(交換を提案する必要)
 水筒の中身…海堂家の浄化炭につけ置いた水道水(舐めたので間違いない)
 桃城と目線を合わせた回数…正正T  マジF●CK!!!

本日:
 桃城と視線を交わした回数…正 ̄
 ↑先日と比べて50%カット
 練習時間が短いとはいえ少なすぎる
 心境に何か変化があったのか?
 レギュラーの練習メニュー…サーブ&レシーブ、スマッシュ
 海堂の自主トレメニュー…左右の切り返し ←下腿三頭筋強化の必要
  桃「このあとどうすんの?」 ←ナンパか?
  海「自主トレに決まってんだろ」 ←ツンデレ萌
 桃城のジャージはそろそろ洗濯すべき(海堂は綺麗好きだからな)


…とまぁストーカーであることは変わっていないが、
海堂にだけ偏っていた(そしてその中でも偏っている)データが
多少分散され、海堂と桃城中心になっていた。
二人の仲を応援するというのは本当なようだ…。


「ふーん、本当に応援してるんだね」

「だから言っただろう、愛のCupidになると」


ふふふ、と乾は笑った。
なんだか不二は腑に落ちなかった。

果たして、本当にそれいいの?
君の海堂君への気持ちは、そんなものなの?

と。


不二がそこに対して疑問を抱いていると。



「それより…な」

「…うん」



乾の表情が、だらしなく緩んだ。
不二はなんとなく嫌な予感がした。

しかし、怖いもの聞きたさで、聞いた。
(そして後悔することになる)(←)


「色々調べていくうちに、気付いたことがあってだな…その…フフ」

「君らしくない、もったいぶらずに早くいいなよ」


顔を背け、微かに紅潮させると乾は言った。



「…桃ちゃんかわいくない?(ぽっ)」

「……………は?」



1.ぽっ じゃねぇよ(キモイ!)

2.桃、ちゃん………?(吐く!吐く!)

3.寧ろ嫌ってたんじゃ…(マジImf)

4.かわいくない?て。。(俄然余裕でかわいくねぇよwwwwwwww)

5.ていうか海堂はどうした(そこ。結局はそこ。)



「あの、乾?(汗だらだら)」

「どうして今まで気付かなかったのだろう!
 強気でいてしっかりものでたまーにへたれ(はぁと)で
 なんかお尻も肉感的だしフェロモン(体臭?)撒き散らしてるし
 そう考え始めたらドネがムキムキしてきたお!
 桃たん!桃たん!(スーハースーハー)」






  -the end-






…としたい気分だったがそうもいかない。(不二周助ピンチ)



「(キモイキモイキモイ本当にキモイ!(白目)
 今までも乾のことをキモイと思うなんて何万回もあったけど
 それは愛情の裏返し的なものも含んでいて、
 しかし今回ばかりはツン要素差し引いても吐き気を催すレベルで キ モ (ry
 キ(略)っていうか… 気 持 ち が 悪 い 。 )」



どうしてこうなったのだろう。

桃城と海堂を応援しようと思ったから?
海堂がなかなか振り向いてくれないから?
海堂を気に入ってしまったから?
そもそも男子テニス部で恋愛なんてしてしまったから?


自分に、何か出来ることはないのか。
この状況を打破することは…。

自分にとって、乾は何なのか。
乾にとって、自分はどんな存在でありたいのか。

それを考えたとき、不二はひとつの答えに辿り着き、行動に出すに至った。



「僕がいるじゃん!」

「えっ…」



突然声を張り上げる不二。
乾は驚いた様子でその姿を見る。



「どうして乾は、そうやって外ばっか見てるの?
 もっと僕のこともちゃんと見てよ!」

「不二…」



今シリーズ初のシリアスな展開。(←とかいう一言でめちゃくちゃにしてみる)



「不二、俺は…」

「もういいんだよ、乾」

「不二……!」



ひしと抱き合う二人。
背景には、夕暮れ。誰もいないテニスコート。
美しいと思っても面白いと思っても結構である。




ほら、乾、思い出してごらん…!色々あったよね


 そうだな、ストーカーと勘違いされそうになったのが始まりか


勘違いじゃないでしょ、実際そうなんだから


 確かに否定はできないな…


まあそれでも海堂君の信頼は回復できたからいいじゃない


 そうだな。ブーメランスネイクの練習をしたりして。あの頃は良かった…


そんな海堂君に惚れ薬を飲ませようとして失敗したこともあったよね


 そうそう…ってあれはお前のせいだろ


ふふっ、そうだったっけ


 まったく…お前には勝てないな


手塚のことガンスルーしちゃったこともあったなぁ


 その後思いっきり○×ふじこlp;


こらこら乾、ここ表だってば(クスッ)


 その言葉を聞くのも、久しぶりな気がするな




――――――……。





「…ああ、俺は何か大事なことを忘れていた気がする」

「乾!?正気に戻ったんだね!」


じゃあさっさと離れろ☆

と顔面を殴られ正気を保てなくなりそうな乾であった。
(でも保った。不二コワイ。)



「君はもっとさぁ、こう、ガツガツとしてて
 マイキューティーハニー(ハァハァ)とか言ってるくらいが丁度いいって!
 僕はそんな君が好きなんだから!!」


(※攻)な男に対して攻になることに快感を覚える男、不二周助(14)。
(コイツも相当歪んでるぞ、ということは忘れがちだが今更である。)




「そうだな…マイキューティーハニー(ぽっ)」


「……………は?」




乾が腕を広げるのと、
不二が逃げ出し始めるのはどちらが早かったか。


「何でこんなに近くにいながら今まで気付かなかった!
 俺にはお前しかいないんだ、不二ィィィィィー!!!」

「キモイィィィィィーーーー!!!」



回避するのは、間に合わない!
不二は咄嗟に頭を前に突き出した。
ゴッと鈍い感触がし、何かが吹き飛ぶのが見えた。



「い…ぬい?イヌイーーーーー!」







 -to be continued-








…としたい気分だがそうもいかない。(稲瀬ちひろピンチ)



「さすが不二、ピンポイントで同じところを
 二度も狙ってくるとはデータになかっ…た……(ガクッ↓)」

「乾っ!確かに僕がテニスうまいのは間違いないけど、
 うなされてまでそんなこと褒めてくれなくてもいいのに!!」



不二が首の据わらない乾の肩を全力でガクガク揺すっていると、
他の部員たちが集まってきた。


「どうしたんですか不二先輩!?」

「乾先輩に何かあったんスか」

「それが、今日ずっとおかしかったんだけど…」

「先ほど帰らせなかった俺のミスだ…すまない乾!」




グラウンド100周してくる!
と手塚が叫んで走り去った。

手塚っ、僕も行くっ!!
と不二がそれを追った。


海堂、とりあえず乾先輩を保健室に運ぼうぜ!
と桃城が乾の肩を担ぎつつ声をかける。

そうだな…
と海堂が反対側から腰に手を回して立ち上がる。




「いやぁ、みんな練習熱心な上に肩まで組んで仲良しだな、英二ィ!」

「そうだねっ、大石ぃ〜!!」






こうして青学テニス部は、
仲間との絆を深め、
苦難を乗り越え、
愛を育んで(?)いくのであった。



「(俺たちがなんとかするしかない…!)」

「(絶対にレギュラーになってこの現状を打破するんだ…!)」



それを見て、平部員たちは燃えていた。
これが全国大会で優勝した青学テニス部の強さの秘訣…なのかは定かではない。



唯一の一年生レギュラーである越前は、

「まだまだだね、あーおもしろっ」

なんて言っていたが。



慌しくはあるが、いつもの部活の一ページであった。



ハァハァ息を切らしつつ汗を流しながら走る手塚を見、
ハァハァ欲情しながら横を走っていた不二は、

乾が倒れたことも、
乾が突然海堂と桃城をくっつけると言い出していたことも、
乾がその二人に運ばれて保健室で3人きりだということも、
すーっかり忘れていた。




  愛不足ですか?

  いいえ、不二乾クオリティ。






















カオスwwwwwwwwwww
まとまらないんで強制終了さしたけど
続編書かないと締まらないなwフラグww

この不二乾シリーズにシリアスを盛り込めるかトライしてみた。
結果:惨敗。(笑)
しかしそれも不二乾クオリティ。
世間の不二乾さんと違すぎてヤバイ。

乾がキモすぎてごめんなさいwwww
にしても不二にキモイというワードを使わせすぎたかな!(反省したフリ)


2011/09/14