* Happy Birthtime to Me! *












今日の夜はちょっぴり特別。

だって…




「(5……4……3……2……1……)」





ゼロ。




………。






「あれ…?」





鳴り響かない、携帯電話。
おっかしーな…。


時刻はとっくに、0:00。

示している日付は、間違いない、
自分の誕生日そのものである。



「(えー…)」



と思って眉をしかめていると、
携帯がぶるっと震えて光った。
でも、違う。この着メロは、違う。


あ、からだー。
今年の一番乗りはか。



「(ありがとう、今度遊ぼうね…と)」



送信。

……。


すると、どんどん鳴り始める携帯。
メールラッシュ。
からも更に返事が来たりして。


収集が付かなさそうだから、返事するのはやめた。
受信されるメールだけを見ていく。

だけど…来ない。



「(それでも彼氏かー!!)」



心の中で文句言って、
明日も朝から学校があるし、仕方ない、
そのまま諦めて寝ることにした。


時刻は0:56。







  **







ピピッピピッピピッ…



「ん……」



目覚ましの音で目を覚ます。
本格的な、一日の幕開けだ。

携帯を見る。
新着メール5件。


おーおー私も人気者だ。

深夜のうちに3件、朝になって1件。
残りの一つは…


「4時40分!?」


こりゃまたなんて中途半端な時間。
アイツ、何やってるんだ。
普段そんな夜更かしなんてする人じゃないのに…。


急いで開封する。



from:大石秀一郎
title:お誕生日おめでとう

お誕生日おめでとう!
15年前の今頃、は生まれたんだな。
生まれてきてくれてありがとう。
これからもよろしくな。



簡素な、文章。

でもその中に、どれだけ愛が込められているだろう。
勝手に想像して、泣きそうになった。

そして、気になった言葉。

15年前の今頃……。


もしか、して。




「お母さん、私の母子手帳どこっ!?」

「どうしたんだい突然」



呆れながらも、お母さんはそれをタンスから出してくれた。
急いでページを探す。
私が生まれた時間、は…。



「午前、4時40分…」



うわ。


「生まれた時間?そうか今日誕生日ね」

「そうそう!ごめんね、突然」


焦って母子手帳をお母さんに返して、
私は携帯に戻る。


やっぱり、間違いない。

その時間に送ってくれたんだ…。



そういえば、何かの用事で母子手帳を見たときに、
自分の生まれた時間を知ったのが嬉しくて報告したことがあった。
でも別にだからどうってことはなくて、
そのままいつの間にか忘れていた。

だけど、覚えていてくれたんだ。



日付が変わる瞬間なんて、人間が勝手に決めたもの。
でも、私は確かに15年前、
地球が太陽の周りを丁度ぐるりと15回逆回りした頃、
この地に、産声を上げたんだ…。



「ありがとう」



本当に、ありがとう。


さぁ、早く学校へ出かける準備をしよう。
今日は珍しく、あくびをしている秀一郎に会えるかもな。


素敵な一日の、誕生日の、15歳の幕開け。






















久々にオリジナルでなくて
テニスで作品を書きたいなーという気になった。
大石健在也。

あまり主張することなく、
こういう気付かれにくい努力をする大石でいてほしいなと。

おめでとう自分!


2010/05/06