* 宝箱の底に。 *












久しぶりに掃除をした。
普段目につかない場所に、大切そうに仕舞われた箱を見つけた。


中には

思い出がいっぱい詰まっていた。




ボロボロの遊園地のパンフレットに始まったそれは、
大きめの金色のボタン、
文字入りのテニスボールに続き、
誕生日に貰った置物、
クリスマスに貰った指輪、
最後の日に貰った手紙にまで至った。

心底嬉しかった贈り物や、
それ自体にはなんの価値もない、
でもそれを見るだけで幸せになれるような、
文字通り、“思い出”が一杯に詰められていた。



今、君はどうしているだろう。


未練なんてないけれど
ふと、懐かしくなって泣きそうになったりする。


君を想って泣くことは、さすがにないけれど、
君を思い出して泣くことは、
まだできるんだね?



箱の一番底に入っていた、
世界一幸せそうな笑顔でこっちを見る二人へ向けて。


「お誕生日おめでとう、秀」


一番なんていう相対的なものは変わってしまっても、
ここに居た二人は、間違いなく、幸せだった。



箱に蓋を閉じて、元の場所へ仕舞った。

またこの箱を開くことがあるとしたら、その時まで。





















この日に小説書かないとか稲瀬らしからぬからね!
携帯10分作。

なんとなく、別れたくなくして別れた二人な気がします。
でも、今はそれぞれの道で幸せに歩んでることを祈ります。

もいちど大石おめ!


2009/04/30