* 背中を追いかけよう *
「お誕生日おめでとうカチロー!」
朝一番にテニスコートでかけられた声。
僕は驚いて瞬きを繰り返した。
「そっか。今日だっけ」
「なぁ〜に寝ぼけてんだよ!」
堀尾くんは僕の背中をばしばしと叩いた。
そっか。今日だったっけか。
親も何も言ってこないし気付いてなかった。
でも今日の夕ご飯は僕の好物が揃えられたりするかな?
「何騒いでんだ一年坊」
「んぁ、荒井先輩!」
3年生がいなくなって、前より更に態度の大きくなった、荒井先輩。
だけど嫌がらせとかしてくることはない。
ちょっと怖い、けど、僕としては結構話しやすい先輩だ。
「コイツ、今日誕生日なんスよー!」
「誕生日?」
じろっとこっちを見た。
話しやす…い……
けど怖いんだけどなぁ…。
「何歳になったんだ」
「へ?」
「歳だよ!」
「あ!」
えーっと、と自分の歳を数えた。
さっきまで自分の誕生日まで忘れていたくらいで
そこまで意識が回ってなかった。
「13歳、デス」
「……同い年かよ」
チッ、と荒井先輩は背を向けて行こうとした。
だけど……ん?
「同い年!?」
「あぁ?」
怒ったような呆れたような声が返ってきた。
「オレの誕生日は、今月末なんだよ」
「あ、そっか。だから…」
数字上で同い年になっても
実際は一年分くらい差があるわけだ。
てことは、僕は今、
去年入学した頃に会った荒井先輩と同じくらいだ。
ん〜記憶が上書きされちゃっててわからない。
でも、先輩って、自分に比べてすっごく大人に見えたような…。
追いついたように見せて、
一生縮まらない距離がそう思わせるのかな。
どちらにせよ、僕は明日も背中を見ているんだろな、って思うんだ。
こんなとこで終わらせとく。微悲恋っぽいw
でも荒カチです。カチ荒じゃないです。
だって、年齢なんて考えればわかるだろうに。
同い年かぁ、とかひとりごとっぽく呟いてみたり。
もうwwwツンの癖して構ってチャソなんだからwww荒井先輩たらwww
カチロはぴば!
2009/03/03