* doubling *












「「おたんじょうびおめでと〜!!」」


「ありがとう〜!」



友達大勢に囲まれている私は、本日誕生日。
これで晴れて15歳の仲間入り。
4月生まれということで、
学年の大半より先に一歩進むことになる。

といっても、精神年齢は小学生並なんだけどね〜、なんちゃって!


教室の後ろでそうしていた私たち。
すると、テニス部の朝練を終えたらしい大石が教室に入ってきた。

私、大石とは結構仲良いんだ。
話が合うっていうのかな。
好き…なのかなぁ。


「大石、おはよ〜」

「おはよう、どうしたんだその包みは」

「えへへ、誕生日プレゼントだよ〜」


私はそう言ってラッピングを顔の横に持ち上げて
首を傾けて笑って見せた。

そうしたらね、「今日誕生日なのか、おめでとう」
とかそういう言葉がくると思ってた。


なのに大石は

「えっ!?」

と言って固まった。


……何その反応。

と、その時。


『キーンコーンカーンコーン』


「チャイムだ〜。じゃあまた後でね!」

「あ、ああ…」


そう言って、私は教室の左前に位置する自分の席へ急ぐ。
大石の席は真ん中の後ろだからちょっと遠いんだよね。




休み時間、私は友達と教室の後ろでたまるのが定番。
授業が終わって、教室の一番前から一番後ろへ向かっていたら、
教室の一番後ろに席がある大石が居た。
別に何か会話があるわけでもないけど、
話しかけようかな〜と思って口を開けかけた。

しかし大石は、目が合うなりどぎまぎした表情で
どこかへそそくさと消えてしまった。

私、なんか変なことしたかなぁ…?
そういえば大石、朝から何かおかしかったような。

ん〜……。

ま、いっか。
考えても分からないし。



休み時間ごとに、大石と目が合った。
その度に、大石は何かを言おうとしたり目線が泳いだり、
だけど結局その場からいなくなる。

どうしたんだろう…何か言いたいのかな?
目が合うってことは何かがあるんだろうけど。
でもあの態度はなんなんだろう。



そんなこんなで気付けば放課後。
掃除の時間である。

私は教室掃除。
ジャンケンで勝ったから黒板。楽だ〜。

私は黒板を綺麗にし終わって、
黒板消しをクリーナーにかけてるところだった。

誰かの足が見えて、顔を上げた。
そこには大石が居た。
だけど大石も、顔を伏せていて。


「……あの!」


突然顔を上げて声を出した。
と思ったけど、目線をまた少し外して。


「今日……一緒に帰ろうか」

「へ!」


どういうことどういうこと!?
誕生日に呼び出しとか。

ドキンドキン。

不意にも、心臓が波打っている。


もしかして、大石が朝から様子がおかしかったのも、
タイミングを計ってたからだった、とか…!?

どうしよう。辻褄が合ってしまう。
ドキンドキンドキン。


答えは、帰り道。




掃除も終わり、学級委員である大石は
誰も居なくなった教室の電気を消し、
私たちは二人岐路に着く。

そういえば、確かに仲良かったけど、
学校を一緒に帰るとかそういうのは、なかったかな。

肩を並べて歩き出す。
一瞬、沈黙。

え〜と、会話。


「今日は部活ないんだっけ?」

「今日はないよ」

「そっか」


………。
あああ終わっちゃった!
私の口下手〜バカ〜もっとなんか……。

うぅぅ。
恥ずかしいよ…。
意識しちゃうからなんだろうけど、
いつもなら平気なのに、沈黙が苦しい。
何話していいか分からない…。


気まずい空気のまま、歩く。
大石も、何話せばいいのか、とか、
同じように考えながら歩いてるのかな。


「…あの!」

「ん、うん」


先に口を開いたのは、大石。
気のせいかな、なんか、
いきり立ったというか…妙に気合が入った声だった。

だけどその内容は、案外平凡なもので。


「今日の朝言ってた、誕生日プレゼントのことなんだけど…」

「あ、これね!」


そう言って、私は鞄からおもむろにに包みを取り出した。
それは、空色をしたペンケース。


「ほら見てこれ!
 私が使ってた筆箱がぼろぼろだったから
 友達が誕生日にってプレゼントしてくれたの。いいでしょ〜!」


そう言って私は笑顔を作った。
私の前では大石が笑顔を作る…と思ったのだけれど。


予想を反して、大石は目をぱちくりさせて固まっている。


「え?」

「…え?」


数秒経って、大石の顔が、
一気にボッと赤くなるのが見えた。


「俺じゃなかったのか…」

「え…え、えぇっ!?」


どういうこと???

私はあの時、誕生日プレゼントだよ、って言って。
それは私が今日誕生日からで。
でも大石は何かと勘違いしている…?

あ!!!


「もしかして大石も今日誕生日だったりする!?」


大石は顔を手で覆ったまま、頷いた。
指の隙間から見える頬は真っ赤。

そっか、そうだったんだ…!


大石は、私にプレゼントもらえると思ってドキドキして。
私は、大石に呼び出されたと思ってドキドキして。
お互いがお互いで勘違いしてドキドキしちゃってたんだ!!

何それ何それ恥ずかしすぎ!!
それでなんか態度とかおかしかったっていうの!?
なーにーそーれー!!!!


でも…それでもさ、
このドキドキは勘違いじゃないって、思っていいかな…?

思って、いいよね?



「「あの!」」



………。



「ど、どうぞお先」

「いや、そっちこそ」


「「………」」



あはは!


そこへきて初めて、私たちは声を合わせて笑った。



「おっかしーの!」

「な」

「お互いして、勘違いしてたみたいね」

「そうだな」


だけどそこまで言って、気付いた。
勘違いしてるっていうのは、遠回しに、
お互いが、お互いのことを、好き…ていう。
そして、大石も同意してるってことは、
同じことを考えてるってことで…。


あ。
その事実に向こうも気付いたのか。
目が合って。
多分今度は、私も大石も、二人とも真っ赤。


「ハッピーバースデー、だね」


照れ隠しに、苦笑交じりにそう言った。
大石からも、同じように、返ってくると思ってた。

だけど口を開いた大石の口からは、
私が思っていたのと違う言葉が出てきて。


私は目をぱちくりとさせて、口を手で覆って、
だけど最後には、「私もだよ」って。



今日は、私もアナタも、二人一緒にハッピーデー。






















はーいこんな感じで!
わ〜これは楽しくかけた!
同じBD設定とかおいしすぎですね。
色々浮かぶけど時間がないのでこの一作で。

最後の一言は、ご想像にお任せ!
といっても一目瞭然でしょうけど。

あー青春ラーヴ!!!

まゆみさん、日記キリ番92000HIT&拍手&リクエストありがとうございました!
そしておめでとうございます!!!
こんな作品ですが気に入っていただけると幸いです。


2007/04/30