* 冷たい温もりは白へ *












腕を伸ばした。


宙を揺れるそれを手に取ろうとした。




だけど パッ と。




目が合う。

だけどすぐに逸らされる。


は少し申し訳無さそうに、だけど謝る気配もなくて。




「…冬には周助と手繋ぎたくない」




言葉を白に変えながら。



「ボクの手が冷たいから?」

「そ、そうよ。悪い?」



質問返しにされてしまった。



「別に悪いなんてことはないけど…心外ではあるな」

「だって、本当なんだもん」



……。

冷たいのはの方じゃないの、なんてね。



「だけどさ…」

「?」



ボクは、を覗き込んで。

も、半ば仕方無しに視線を合わせて。


冷たく。




の手の方が冷たいと思うけど」


「!?」




暫く、無言。

流れる吐息ばかりが白い。


は口を開けた。



「周助の方が冷たいから」

「本当に?じゃあ確かめてみる?」



そう言って「はい」と手を差し出す。

は手を握り返してくる。



ほら、温かい。




「…やっぱ周助の方が冷たいじゃん!」

「そんなことないよ、の方が冷たいって」

「だって明らか冷たいもん!」

「じゃあ、同じぐらいってことで」

「えー…」




息が、弾んでる。

流れていた白さは、辺りに飛び散って。

いつから冬になっていたんだなって考える。


離れていこうとする手。

ボクは、より力を篭めて。



「……え」

「離さないよ」




振りほどこうとする手は、そのまま。

一度掴んだ手を、放すわけがないでしょ。




「……ズルイ」

「なんとでも」




は、気付いているかな。


相互作用だよ。

繋がっている部分から、
ボクらは温まってきているってこと。


気付いていないにしても、
手を繋いだままでいるボクらは、
それだけで答えなんだと思えた。


温かさをありがとう、ってね。






















不二の手は冷たくてなんぼ!
何度だって主張するよ。やつの手は冷たい!(喝っ)

結局主人公ちゃんの手の方が温かいんですな笑。
だけどそれを温めるのは冷たい手。
うーん矛盾。愛は不可能を可能にする!!


2005/11/19