* ズルくてゴメンね? *












ほんの意見のぶつかり合いだったんだ。

普段、揉め事を避けている身としては、
このような事態になるとは予想だにしていなかった。


しかし俺は、その揉め事の相手と…不二と。
3日間口を利くことすらなかった。

視線は合わない。
お互い合わさないようにしているのか、
それとも、果たして、
視線が搗ち合うことなど、前からあっただろうか?


……。


「手塚、不二と何かあったのか?」

「…何故そう思う」

「いや、なんか…不自然に避け合ってるように見えるけど…。
 ゴメン、俺の勘違いならいいんだ!」


そう言って大石は居なくなった。

……さすが、
部員のことを見続けているだけのことはあるな。

それにしても…。



ちら、と視線を向ける。

不二は菊丸と会話をしていた。
実に楽しそうな表情を見せ。

………。


む。

視線が合った。

……逸らされた。


だけど、また向けられて。

また逸らされた。


……なんなんだ、一体。



このままでは、埒があかない。
はっきりと仲直りをした方がいいというのか。

仕方がない。

俺から、声をかけることにした。


菊丸が、不二の元から離れた。
そこへ俺が後ろから近づく。


小さく息を吸って。

声を、掛けた。



「不二…」


「ん、なあに手塚」



そう言って振り返った不二は、
微笑を見せていて。


……。




「俺はお前のそんなところが…嫌いだ」

「あっ、心外だなぁ」



そんな言葉を口にしつつも笑顔は保たれていて、
さすが不二、とでも言うべきか。

態度は、いつも通り。
数日の沈黙も、今では虚しいばかり。

視線を逸らしても、
「怒ってるのー?」なんて言いながら近づいてきて
あくまでも同じ態度を貫くつもりのようだ。



「食えないやつだな、お前は」

「おいしく頂かれても困るけど」

「…それは本気で言っているのか」


どう思う?、などと呑気なことを言っている。
全く…。
手のつけようがないとは正にこのことか。


ここ数日の態度はなんだったんだ、と聞いたところで
「手塚こそ」もしくは「なんのこと」と言われるのは目に見えている。

どこまでも不二は…こういう奴なんだ。


しかし…。
もし、これが演技ではなかったら?
俺は不二が分かっていておちょくっていると想定しているが、
そうではなかったら……。
いや、だからとはいえ…。


…いずれにしても。
どうして張本人は能天気な顔をしていて
俺ばかりが考え込んでいるのか。
…実に理不尽だ。


「手塚ぁ、怒ってるのー?」

「もういい」


背を向けた。

一体なんなんだ…。
もはやわけがわからない。



不二はこういう奴だ。それは分かっていたはずだ。

それなのに…何故だ、この感情は。



そんなお前が、俺はキライだ。




「…俺は謝らないぞ」

「お互い様」




やはり、分かっているわけだな。

本当にどこまでもズルイやつだ、不二は。






















不二受うぇーい。でもこれ不二塚?(笑)

不二の狡賢さ主張。
由美子姉さんに言ってるけど、
一番白々しいのはお前じゃ!!(ぁ

先に閃いたのは手塚編。
先に書いたのは英二編。
先に終えたのは手塚編。ぇー…。笑。

タイトルは、舌をペロっと出しながら
斜め後ろ辺りで呟くといいよ。


2005/11/18