* H&2H& *
僕の手が、冷たいだけかな。
大石の手、凄くあったかいや。
絡み合う指が、心地好い。
しきりに組みなおして、その感触を堪能した。
そして、苦笑。
「いいね…大石の手。温かくて、大きくて」
「そうか?そういうものかな…」
僕の指に捕らわれたまま、
自分の手の甲を眺めると大石は眉を顰めた。
思わず、微笑。
だって僕は、君のそんなところが大好きなんだ。
「そういえばな、不二。こんな話があるぞ」
どんな?
首を傾げて質問とした。
「手が冷たい人は、心が温かいって」
そう言うと、大石は柔らかい笑みを見せてきた。
「俺の手はいつも温かいから心が冷たいんだと」。
妹さんに、そう言われたらしい。
へぇ。大石は、妹とそんな話をするんだ。
僕は、姉と弟が居るけれど、どんな話をしていたっけ。
大石みたいなタイプには、年下の女の子がとても似合う気がして、
仲良くしているその姿を勝手に想像しては微笑を零さずにはいられなかった。
「そんなの科学的に根拠もないし、全然信用してないんだけどな」
大石はそう言って眉を少し垂らす。
情けないような、力の抜けた表情。
ああ。本当に。大好きだ。そう思う。
大石は口を開く。
「だけど、もしかしたら本当かもな、って今は思ってる」
「どうして?」
ん?と一度はしらばっくれて見せてから。
僕の手を握り返すと、微笑んで。
「不二の手、細くて綺麗で…冷たいから」
それはつまり。
手が冷たい人は、心が温かいと。
ボクは、心に温かみを持った人だと。
そう言ってくれてるのかい?
「…僕は信じない」
「え、どうしてだ?」
聞き返してくるその調子がわざとらしく感じられたけど、
大石のことだから本心なんだろうな、と思いながら。
「だって、大石の手は、大きくて包み込んでくれて…とても温かいから」
だから信じない。
僕はそう言った。
目を合わせて、二人同時に噴き出して。
それで両手を離した。
自分で拳を握って確かめてみると、
いつもは氷のように冷たい自分の手が、
少しだけ温もりを含んでいるような気がした。
ずっと、握ってたからだ。
開きっぱなしの大石の手を見て、
苦笑にも近い微笑が頬から零れた。
手も、心も、きっと同じ。
二つが重なり合うから、温かいんだ。
突発的に不二大が書きたくなって書いた。
萌えるよね。萌えませんか。すみません。
題名はhand to handと読む。手と手を繋いで。
手が温かい人は心が冷たくて…って、言いませんか?
私はよく言ったなぁ。特に小学校の頃。
自分の手が凄く冷たいので、あまり信じていませんでした。(笑)
2005/11/05