* We are 真面目組。 *












「今日は先生が用事があるので、授業は自習にします」


イェーイ!

先生の言葉を聞いた瞬間、クラスメイトは全員
弾けたように騒ぎ出す。


「皆さん!自習っていうのは遊びじゃないんですよ」


ハーイ。

こういうときだけ綺麗に声が揃う。
全く、チームワークも抜群ですね我が3年2組。

後ろを向いたり、離れた席の親友に合図送ったり。
自習が決まった瞬間っていうのは、
普通の授業の5倍は慌しい。


「このプリントを終わらせて提出すること。
 終わらなかった分は宿題です。いいですね!」


再度元気のいい返事。

先生は尚更不安そうに、
でも仕方なく教室から出て行った。


ドアの横の席の人が外の様子を伺っている。
そして、角を曲がるのを確認した途端…。




「「イヤッホーウ!!!」」



ああ、動物園…。




机の上に上る男子。
友達の席を取り囲む女子。

裏紙の紙飛行機が浮遊する。
綺麗に畳んだ手紙が飛び交う。


ていうか、 ウ ル サ 。


だって私は、静かに席に座っている派。
うん。静かに座って、漫画読む派。ウン。

まぁ、形はどうであれ、五月蝿いものは癪なわけで。
集中して漫画も読めないっつーの。

それとも交換日記を書こうか。
いや、どちらにしろ五月蝿いものはウルサイ。



もう、こんな時に学級委員は何やってるのよ!
こういう時にビシッというのが役割でしょが!
女子学級委員…だめだ。おしゃべりに夢中。
しかもあれは私の苦手なキャピキャピグループではないデスカッ!

無理×2…。

元々あんまり話したくないタイプなんだよ学級委員本人も。
じゃあ、男子学級委員。
何やってんだー、何を…。


……は?


「あの…大石くん?」


間。


「大石くん」


間。



「大石秀一郎クン!!」

「え?あ、ゴメン何かな」


「………」



…呆れた。


なんなんだこの人は。


私だって、声小さかったわけじゃないよ?
そうでもなきゃこの騒音の中じゃ掻き消されちゃう。
っていうか、そもそも周り五月蝿すぎでしょ!
頭に何回消しゴムや飛行機が当たったか知ったこっちゃない。


そんな状況で、あんな集中して問題解いてるなんて。

アリエン。



「どうしたんだい、さん」

「あ、えっと…」


……。

すごい集中力だ、な。



「その…問題わからないとこあって!教えてくれる?」

「ああ、それくらいお安いごようさ」


やった!

…とか言っちゃった素だったよ今。



そうだね。
こういうのも、悪くないかもね。


プリントとシャーペンに椅子を持ち寄って、
教室の片隅で勉強会。



「あ、大石にやってんの?後で写させろよ」

「ああ」


「え、いいの?」

「うん、本当は良くないけど…構わないさ」


ふーん…。
そうなんだ。
生真面目君かと思ったら。なんか意外。

と。


「それが自分のためになるかは、
 本人が一番分かってるはずだろ」

「…」

「それでも楽したいっていうなら、止めはしないさ」


なるほどね。

それは一理ある。


「意地悪だね」

「そうかな?」

「うん。自覚ないところが特に」


そんなことで笑い合って。

チャイムが鳴ると同時、
プリントを提出した私たちとクラスメイトたちでした。


ちょっと、頑張ろうかなって思った。






















自習といったら遊ぶ、コレ常識。
だけど大石は常識はずれなやつなんだろうな、と。(微笑)

大石が『おしゃべりな時間割』の時田くんにそっくりです。
意識しなかったのにというかしなかったのでというか、
とにかくそっくりになってしまった。どうしたものか。

真面目っぷり発揮。本気モード。
自分の気を引き締めるために書きました。


2005/10/09