* Native VS Native ? *












部活の休み時間だった。

ロッカーに人を連れ込むなり、鞄を漁る桃先輩。


「越前、お前英語は得意なんだろ?」

「はあ…一応」

「ちょっとここ教えてくれよ!頼むっ」


見せられた問題集。

…何コレ。


「…これがhave eatenでしょ、こっちはhave been eating。これが…」

「いや、だからそこがどうしてなのかを教えてくれよ」

「だって…そうだから」

「説明になってねーよ!!」


でも本当のことだし。

桃先輩だって、どうせ日本語の文法分かんないくせに。


と、思ってたら。


「感覚で分かっちゃうってやつ?そういうのあるよね」

「不二先輩!……っス」


その時点で、少し引っ掛かっていたんだ。

だけど特に気にしてなかったし。


「"I have been working for an hour." へぇ。
 そういえば去年こんなのやったな」

「オレもう英語苦手で…て、不二先輩発音綺麗っスね。得意なんスか?」

「まあ、並にね」


並?

今のが?


今の絶対ネイティブ発音。


「(気のせいか…?)」

「越前、もうワケわかんねーから後でゆっくり頼む」

「だから分かんないんだって…」

「嘘言えよアメリカ育ち!」


そう残して、桃先輩は部室から消えた。


" 'm not lying..."


そう呟く。

横からは、クスクスと笑い声。


"..What's so funny?"

「いや、面白いなと思って」


…うーん。

やっぱりオカシイ。


だけど、先輩んち金持ちっぽいしな。

“英才教育”ってやつかもしれないし。

英語の才能を教えて育てる?

才能の問題じゃないんだと思うけど…。

全く、日本人ってバカだよね。


英会話教室って本当に意味あんのかな。


と。

ん……。



「へっ……くしゅん!」


"Bless you."


"..Thanks."



ん?

普通に返しちゃったけど。


なんか今の久しぶりにやった。

っていうか、こういうの日本にないよな。


英会話教室で。

…習うか?普通。



The answer is, NO.



「…先輩」

「ん?」


睨むように、視線だけ真っ直ぐ。



"Where had you been?"



合わさったまま、数秒。

先輩はにこりと微笑む。


「生まれてこの方東京」

"Bullshit!"


あらら、という感じに。

表情を変えて、その人は。


"Well, California maybe?"


尻上の、疑問形のような口調。



「しらばっくれやがって…」

「ん、なんのこと?」


ギンと睨んで鼻先へ。


「そういうとこ」


一言だけ残す。

文句有りげに背を向ける。


「リョーマ君?」

"Stop calling me in name!!"


思わず声を張り上げてしまったけれど。

一瞬が間が合ったから、


ヤバイ!!


とは思ったんだ。


案の定、やばかった。



 "Sure, M R . E C H I Z E N ."



ちょっと怖かった。

一気に力が抜けた。


"...Whatever you want."

"That's the way to go."


負けた感じのオレ。

横で先輩は笑ってる。


「…ズルイっスよ、黙ってるなんて」

「わざわざ話す義理もないけど?」



普段そんなに喋ってるようには見えないけど。


本当に口達者なんだ、この人は。



…勝てない。

そう思った。






















初めにつけた題名は『不二帰国子女説。』だったり。
不二が帰国子女でもおかしくないのに
どうしてそういう設定がないんだろう、
と思ったので自分で作り出してみた。

リョーマが日本のこと知りすぎ。
ちょっとおかしいよね。(笑)

受モードなリョーマさん。
頭の中ではアニプリ映像で出来上がってるって。


2005/08/19