* 24億分の自分の誕生日 *












自分の誕生日に感謝する。

明日は土曜日。


明け方まで、貴方と一緒に居られるね。




「お誕生日おめでとう」

「…ありがとっ」




ぎゅっと抱き締められて、温かい。
同じベッドの上で、同じ布団に包まって、二人。
少し熱すぎるぐらいだね。




「あら、秀一郎大変!」

「ん、どうした」

「夜中!夜中!!」

「……あ」



時計を見た。

なんと、12時を越えているではありませんか。

現在の時刻、12時1分30秒をお知らせします。



「何これ!ピロートーク長すぎ!18歳の誕生日がぁぁっ!!」



「んっ――」




長いキス。

何秒ぐらいあっただろう。数えてない。




顔を離すと、秀一郎は私の顔をじっと見つめて。
頬に指を這わすと、落ち着かせる声で。



「大丈夫だよ」

「何が…っ」



ぴ、と秀一郎は時計を指差す。

枕元にある時計は二つあって、
一つは、私がさっき見た、12時3分の時計。
もう一つは、秀一郎が今指差してる、11時58分の時計。


「そっちの時計は、5分進めてあるんだ。念のため」

「なるほどね…」


さすが。秀一郎らしいわ。
そうすれば、朝の6時きっかりに目覚ましを掛けても
5分差で鳴ってくれるから寝坊の心配なし、ってか?


「それでも、あと2分もないけど」

「あわわ、あわわ!」

「落ち着け」


そう言うと、秀一郎はジタバタと暴れる私の腕を掴んで、
もう片方の腕は背中に回して、ぎゅっと力入れて。

そのまま、暫く静止。
力を入れるといっても、
締め付けられているわけでもないのに、
何故か、苦しくって息も出来ない。


「そんなに、慌てなくても」


ちゅ、と額にキスを落とされた。
カチカチ、と時計の針が
僅差で二つ動いた音がした。



「これから、ずっと一緒だろ」



2分間なんて。
長い長い夜に比べたら、ほんの小さなものなんだね。



過ぎ去っていった誕生日。
それにどんな意味があるって、本当は何も分からない。



24時間なんて。
永い永い時間に比べたら、いったいどれだけのものなのだろう。

首を反らして5分間ずれた時計を見たら、泣きたくなった。




もう一度唇を合わせて、
その後は体も合わせた。

燃え滾るような二つの体を重ね合わせて、
夜が明けるのを待っていた。


長い永い夜だった。






















自分の誕生日記念に書いたと思われる。
ちょっと過ぎてるけど。笑
あとがきを書いている今は2006年12月だったり。笑

1秒が1年を壊す、じゃないけどさ、
うちらって一体なんだろな…とか
そんなことを考えてみてる大石。(お前じゃないのか)

24は一日、億は計り知れない大きな数字、を表す。
24億という数字自体に特に深い意味はありません。


2005/05/30