* 思い出の日々を数えましょう *












「…達成」

「え、なんだって?」


唇をそっと離す。

その直後に呟いた言葉。



「ん、なんでもない」

「今、達成とかなんとか言わなかったか?」

「なんだ。聞こえてたんだ」


けらけらと私は笑う。


なら、教えてあげましょう。




「100回目のキスだよ」




秀くんは驚いた顔をした。



「数えてたのか」

「うん」

「それは驚いたな」


そう言って笑った。

だけど直後に固まる。



「あっ、でも…」

「ん、どうしたの?

「それって…が起きてるときだけ、だよな」

「当たり前じゃん…って、え?」



硬直。

目を合わせてぱちぱち瞬き。



「…もしかして、寝込みを襲った?」

「い、一回だけ」

「ウソー知らなかったいついつ!?」

「確か、バレンタインデー、かな…」

「うーそー知らないー!!」



なにそれなにそれ!

私が知らないうちに思い出が一つ増えていただなんて。


きっちりカウントしてたはずなのに。

なんだそれー。


あー…。

冷静に考えたら、色々出てくるぞ。



「そういえば、ほっぺちゅーとかはカウントしてないわ」

「ああ…」

「あと、エッチの最中とか絶対憶えがないのあるもん!」



なんだこれ。

自分では完璧だったつもりが、全然ダメじゃん。



「でも、絶対にいえることがあるぞ」

「え、なあに?」



秀くんはこう言った。


「最低でも100回は超えてるってことだ。だろ?」



うん。まさにその通りだ。



私は笑顔で首の周りに腕を巻きつける。



「私たちの思い出も100個以上になったってことだ」

「もっとだろ」

「うん。多分、200、300…もっとかな。500くらいあるかな。うーん…」


あっ!

と、声を上げる私。



ぱぱっと頭の中で暗算をして、言う。



「1096個、かな」



秀くんは暫くしてから、その意味を理解して

「今までありがとう」

って言った。


だから私はすかさず

「これからもよろしく」

って言った。




そして私たちは額同士を合わせて、

そのまま、唇も合わせて、

また新しい思い出を増やすことに決めた。








  -- Thank you & Congratulation!!! --






















ついに大石de100題が100題達成!!

や、やったじぇ…長い道のりだった。
一昨年の12月に始まったんだよな…。
1年半で100作か。100.5作。笑。
いやぁ、頑張りましたよ。

楽しかったよ。100題もこの小説も。
たくさん比喩しまくった。シンボル〜。
そして、何気なく“秀くん”の使用に成功!ははん。

本当にありがとうございました。
まあ、ひょんなわけで、多分ひょっこり101作目以降が現れます。笑。


2005/04/30