* 深しいね。 *












「おはよ」

「おはよう」

「……」


普通なのが、逆に不自然で。



「何も聞かないの?」

「え?」

「昨日のこと」


大石は、ちょっと困った風になってから。


「大丈夫なのか?」

「大丈夫。ありがと」


そんな会話。


大石は苦笑に近い微笑をして、自分の席に向かう。
なんていって、私の斜め後ろだけど。


「私ってさ」


椅子を少し後ろに傾けながら話す。
大石は鞄の中身を移し変えながらも顔はこっちに向けている。


「多分…周りに思われてるほどは強くない」


例えばフラれた翌日にも笑ってたとか。
部活の引退試合後も涙を見せなかったとか。

周りには“強い”という印象を持たれている気が、自分でする。
親友であるなぎでもそう思っているようだから間違いない。


それでも、

「だけどきっと、自分で思ってるほども弱くはないと思う」


そう言った。


本当に強い人は、強がらない。
弱い人ほど、弱い部分を隠そうと必死になる。

きっと、私はそれだ。



すると大石は。


「俺は、逆かな」


そう言った。



「自分では、強くなったつもりなんだ」


机の上で握られているこぶしに目を落として。



「実際…前よりは強くなったかもしれない」


ぽつりぽつりと、呟くように。



「だけど」


気付けば私も体ごとそっちを向いている。




「足りないんだ」



大石はそう言った。





「たった一人のことを支えることも出来ない」





そんなことないよ、って言おうと思ったけど。

表情が真剣すぎて入れるタイミングを失ってしまった。


だけど。

私、こんなにも大石に支えられてるよ?


気付いてる?




「…大石は自分で思ってるほどは弱くないよ」

「そうかな…そう言ってもらえると、嬉しいけど」



強がってる自分が、一番弱い。

自分の弱さに気付けたら、また一つ強くなれる。



その両方に気付いた私は、

全てを知った気になっているけど。


本当は、何一つ分かってないんじゃないかって思った。






















強かろうと弱かろうと何だろうと、
何事も、思っているほどではないと思う、んですよ。
実は元ネタはこ○ちゃから来てますYO。
そういう意味では8年越しのネタだな。わぉ。

自分のことって一番分かっているようで
実は一番分かってないんじゃ、っていう話になったのさ。
私はdon't agreeですけどね。爆。
だって、自分が知らなかったら誰が分かるの。
全部分かってないにしろ、一番は自分でしょう…。

結局何があったのかは分からないままですた。はん。


2005/04/13