* 虚しいね。 *












努力しても報われないことが
あるっていうのは分かっていたけど。

それは、過去の事件で分かっていたはずだけれど。


それでもまだ涙は出るんだね。




心臓が痛い。

心臓が痛い。

痛いよ。心臓が。心が。


痛いよ。




?」


大石は私を不思議そうな顔で見る。



そうだよね。

部活も何もないのにこんな時間まで残ってるなんて変だよね。

そっちは、委員会の仕事みたいだけれど。



「どうした?」

「大石ー…」



教室に足を踏み入れる私。

名前を呼びながら歩み寄る。


近付く私を見、大石は眉を潜めた。

私、泣きそうな顔してるかな。

それとも目がちょっと赤いかな。


泣きたい。



「どうしたんだ、

「ちょっと来て」



どうせ教室には誰も居ないのに。

なんかそこじゃいけない気がして
腕を引いて、大石を廊下に連れ出した。

そのまま廊下に座り込む。

引かれるがまま、大石も雪崩れ込むように。

私の上に覆い被さるようになっては、
「ごめん」とか言って急いで体制を整えてたけど。


バカ…。




、一体何が…」

「もうヤダよ」




相手の言葉、無視。


ごめん。

今の私には人を気遣う余裕はない。



「どうしたんだ、

「ヤダァ…」



膝を抱えた。

それ以降、大石は何も言ってこなかった。

肩に乗せられた手が、不自然に感じられる。



「……バカみたい」



鼻を啜って顔を上げた。


視界の端に微かに見える大石は、
反対の方向に顔を背けているみたいだった。

きっと、言葉を捜している。


ごめん。

君を困らせるつもりじゃ、ないのに。


泣きたくなったから寄り添う先を捜してたんだ。



自分勝手でごめん。



「帰る」

「大丈夫なのか?」

「うん」



言葉短に背を向ける。

そのままロッカーの荷物を無造作に鞄に詰め込んだ。


「じゃあね。また明日」


やっぱり背を向けたまま。

手だけを振ってその場を後にする。


引き止められるのは分かってた。



「本当に、大丈夫なのか」



足をちょっとだけ止めて、間を置いてから。



「うん。大丈夫」

「それじゃあ…また、な」

「うん。また明日」



そのまま真っ直ぐ歩いて、曲がって階段下りた。

追ってこられたら困るな、とは思ってたけど、実は期待してた。




バカみたい。

一瞬、何事にも希望を持てなくなった。



心の中が空っぽになってしまったみたいで怖ささえ消えていた。






















私を大石役に当てはめました。友人が主人公。
だってまさか大石に泣き寄り添われるわけにはいかず…。
ははは、主人公が大石に感情移入しまくってる。(笑)

相手の気持ちがはっきりと分からぬままなので曖昧。
だからといって聞き出そうとは思わないし。
てなわけでこれは多分このまま。

私はどうすれば良かったんでしょうか。
明日、笑顔で会えるといいな…。


2005/02/01