* ゴメンしかいえない *












「ごめん」

「…謝るってのがムカツク」


溜息を一つ吐く。

その仕種にも、もう疲れた。


謝るってのがムカツク。

謝らなきゃいけないような状態にいることがか。
謝る必要はないのにそうするからか。

分からない。
つい、口をついて出てしまった言葉だったかもしれない。
そんなに甘いものでもないと思うけど。


謝る以外にどうしようもない。
そんな状況も理解してる。
だからこそ、余計に辛い。


「――…オレは」


寄りかかる体。

温かさはいつもと同じで、悔しい。


この手で支えてやれたらいいのに。

今の自分には、力不足な気がして。



「オレは、どうすればいいっていうんだよ…」



甘えに聞こえるかもしれないその言葉は、
きっと心の底からの戸惑いを乗せるので精一杯だった。


それぞれの想いで、胸が張り裂けそうだ。




「嘘だって言えよ…」

「ごめん…」



「謝るなよ」

「ごめん…」



「…謝ってんじゃん」

「ごめん…」





ごめん、ゴメン。

その言葉だけが頭を回る。

口から出てくるのもその言葉だけ。




「ごめん…ゴメン……」


「もういいから…」


「ゴメン…」





もしかしたら、自分に対して、

じゃないのかな。


謝っても謝り足りないから、謝るしかないんじゃないかな。






ゴメン。






















恐ろしく暗い話になってしまった…ぎゃふん。
メルマガで書き始めて、ここで完成。
加筆しない方が良かった気もする。ぁー

大石視点でしょうか、菊視点でしょーか。
どっちからでも受け取れるように書きました。
つーか本誌の大石どうなってるわけよ?

『バカとしかいえない』と対にはなってないけど、
同じ状況を別ジョンバーで考えてみた次第。


2005/01/10