* バカとしかいえない *












怪我自体もそうだけど、教えてくれなかったことに少し腹が立っている。



「どういうことだよ」

「………」



睨み合い。

向こうが先に逸らした。


オレの勝ちだ。



「何で、言わなかったんだよ」

「………」



分かってる。

心配かけたくないとか思ってるんだ。

オレを含め、部活中のみんなに。



「そんなに酷い怪我だったなんて…完治してないとかさ、なんだよ」



ぶつけてるだけ。

偽善のような優しさに。


お前のそういうところ、オレ、

すごく…バカだと思う。



「お前、バカだよ。ほんとバカ!!」



自分の声が震えてる。

それ以上に、前に居るやつの目が震えてる。


いつもなら真っ直ぐ見てくるくせに。

今日は持ち上げることすらしない。


斜め下を、ずっと見て。




「ほんと…信じらんない!サイアク…」




怒ってると分かってた。

そうでなかったら傷付いてると思った。


だけど口も止まらない。





「妊婦さんなんて…助けなきゃ良かったんだ!」






   パァン!








小気味いい音が鳴り響いた。







キミは宙に残った手の行き場を無くして

オレは頬に添えた手の震えを隠せずして


二人で目を合わせて



「ゴメン」。





前は、そこで声を合わせて笑ったのにね。


笑顔すら、出てこなかった。





二人とも

申し訳無さそうに。





涙なんて出やしない。






「大石の…バァカ」




吐き捨てるように言った。

自分が間違ってるって分かるから。


コドモの八つ当たりだよ、どうせ。



バーカ。




「英二…そういうことは、思ってても口に出すなよ」

「…思ってないから言ったんだもん」




それは、オレがバカって言ったことに対してじゃないことぐら分かってる。




立海戦。

後ろで応援していた人たちを思い出す。


立海戦。

久しぶりに一緒のコートでプレイできていた。


立海戦。

あと一歩のところで届かなかった。



その前は?




玉林戦、勝った。

不動峰戦、勝った。

ルドルフ戦、負けた。

山吹戦、勝った。


一緒に戦って勝った。一緒に頑張って負けた。



氷帝戦は?


緑山戦は?


六角戦は?



勝ち負けの問題じゃない。


どこいっちゃったんだよ、オオイシ。







「…オレは、一緒にプレイしたいだけなんだって……っ」






涙が出てきた。




大石はオレの右手を掴んで

頭を自分の胸に引き寄せた。


涙はいつまでも流れてた。






















ジャンプを読んでないからなせる技な気がしてきた…。
本編の都合とか無視。どうなってても知らん。
あくまでも私の見解による予想ってことで。

この類の作品ばっか浮かんでくるよ。やーねー。
幸せラブラブな大菊とか久しぶりに書きたいよ。
なんかホモ苦手になった気がする…ギャー。
夢っ娘になったかなぁ…友情の方がしっくりくるわ。
(といいつつ、抱き合ってる大菊には伏目)
(ぎ、ギリギリで男の友情のラインなんだよ!)


2005/01/10