* ホントの気持ち *
〜やっと気付いたホンキ〜
「やっほ〜!」
朝から、君に会えたことはラッキーだと思う。
だけど、それと同時に憂鬱な気持ちにもなることは見えていた。
「英二、数学宿題やったー?」
「登校してくるなりそれかよ〜」
「で、やったのやったの!?」
「やってるわけないじゃん」
そんな会話が、俺のすぐ横で繰り広げられた。
その様子を横目で見ながら、ちょっと切ないような、
それでいて納得して満足しているような、そんな自分が居て。
微笑を通り越して爆笑したくなる。
そうでもしないと気が晴れそうにもない。
なんてことなんだろうな。
一度だけ、聞いたことがある。
「英二のこと、好きなのかい?」って。
君は「違うよぉ〜」と舌足らずに答えた。
それは見たところ演技ではなく、ごく自然だった。
彼女が相当に演技力があるという可能性を外すと、
つまり、本人でさえ気付いていないことになる。
だけど、俺には、分かる。
いつも、見ていたから。
だって―――ほら。
君が、彼を捕らえる視線は――――。
「あ、オレ部室に忘れ物!大石鍵貸して」
「何を忘れたんだ」
「バカった〜!荷物全部忘れた!」
なんで気付かなかったんだろう、
と頭を掻いている英二は、
確かに手に体操服の袋が掴まれているだけで、
そういえば今日の3時間目、6組は体育だったかな、と。
「おっちょこちょいだなぁ英二は…ほら、鍵」
「サーンキュ!」
パシッと受け取ると、ものすごいスピードで元来た道を戻っていった。
俺に体操服の荷物を渡すことを忘れずに。
…これはなんだ、待ってろっていう意味か。
それとも教室まで持っていってって意味か。
全く、何を考えているんだかな。
小さく苦笑して、横を見る。
俺はその視線に釘付けになる。
深呼吸にも似た溜息は、
本人が思っているより、
周りからは深く見えて。
ほら。
君の視線は。
いつも彼を追っている。
「…さん?」
「え?あぁ、バカだよねー、英二って」
そういって笑う君の横顔もまた、愛しいと。
こう思っていることなんて、伝えられるはずがない。
君はまだ、彼に対して愛しさは感じていないのか?
感じているのに、気付いていないだけなのか?
本人より先に、周りが気付きだすんじゃないかな。
とか、もう既に気付いている人間が考えることでもないけど。
微かに胃が痛み出した気がした。
また常備薬に頼らなくてはならないのか、
と思うと切なさと同時に自分の弱さを知る。
「…行かないのか、教室?」
「ん、行く」
もう一度ちらりと後ろを振り返ってから、
数歩前を歩き出した俺についてきた。
俺もまた、ちらりと後ろを振り返る。
心なしか、以前とは違う視線。
もし今、過去に君にした質問を繰り返したら、
君は、同じ答えをするだろうか。
しないんじゃないだろうか。
答えはまだ、定かではあないけれど。
例えば、君に気付かせるとか。
協力してあげるとか。
そんなことなんて出来ない。
いつも見ていたから、君の視線に気が付いた。
気が付いたから、どうすればいいか考えた。
その考えを実行に移せなくて、自分の気持ちに気が付いた。
気が付いたのに、伝えることは出来ない。
君の視線に気付いているから。
とはいえ、やはり、伝えたいと思うのは、
果たして間違いなのだろうか。
だけど、噤んだままの口からは、言葉が飛び出したがっている。
心のままの、ありったけの想いを乗せて。
もう一度振り返って―――。
「さん」
「ん?」
『好き』
「―――なんじゃないのかい、英二のこと」
…ずるいと思った。
まさかギャグじゃないんだから、
こんなところでこんな逃げをするなんて…。
自己嫌悪に陥った。
だけど、“これで良かった”と思えた。
それは、君が笑顔が見られたから。
ほら。
たった今、君が微笑んだのは
やっぱり、俺に対してじゃなくて
きっと、いつも隣にいる、アイツのことで。
「ふー追いついた!で、二人はなんの話してたの?」
息を切らしてやってきたその人を見て。
俺たちは、二人とも微笑を零せずには居られなかった。
きっと、これが、俺の今の『ホントの気持ち』。
あー。なんだこれ。わけわかんねー。
歌詞創作ってやつを久方ぶりにやった。
実はあんま好きじゃないんだけどね。(ぁ
イメージ固定に繋がりやしないか、と。
だけどいっておくと、この作品は歌詞創作の一種だけど、
決して私の『ホントの気持ち』の解釈がこれだ、
というわけではありませんのでどうぞ宜しく。(微笑み)
だってイメージが全然違うよイメージが…!
あと、歌詞一つ一つの解釈も随分と夢風味に変換したしね。
違うと思うんだよ。これの歌は。色々と。
…ドリーマーとして黙っておくけど。(何)
NaんてことNaんだろうNaってことで。あはは。(カプート)
2004/10/27