* 夏の終わりと蝉の声 *












ミーンミーンミーン…。

ミーンミーンミーン…。



「うるさいな、蝉」
「な」

……会話は少ない。
耳に入るのは、蝉の声ばかりだ。

うっとうしいと思いつつ、この声が聞こえなくなったら
オレたち二人の間に生まれる静けさは大きく膨らみすぎてしまうと思う。


「喉乾いた」
「あ、なんか持ってくるよ」


パタン。

扉を閉じて安心している自分が居た気がした。


台所の電気は消えていて、薄暗い。
そのくせ空気が生ぬるいもんで、冷蔵庫を開けると心地よく感じた。

麦茶をガラスのコップに注ぎながら、思う。

夏だ。
でも、もうじき終わりだ。


ドアを開けた瞬間に、少し噴き出してくる冷気が涼しい。
部屋に戻るとお前は両足を投げ出していて、
腕を後ろについて体重を預けていた。

「はい麦茶」
「どーも」

非常に軽い返事をして、お前は、
コップに並々注いであった麦茶を一気飲みしてみせた。
オレは一口だけ飲むと、コップを床に置いた。



静かだ。

蝉の声を、除けば。



ミーンミーンミーン…。

ミーン…ミーン…ミーン……。



速くなったり遅くなったりする蝉の声。
曲を奏でるつもりがあるわけではないと思う。

心地の良い音だとは言い切れない。
美しいメロディーだとも到底思えない。
それなのに、どうしても耳を傾けてしまう。

夏って、実は静かだ。これさえなくなれば。



ミーンミーンミーン…。

ミーン・……ミン…ミ………。



鳴き声が、止んだ。



……ミーンミンミンミーン…。



また、鳴き出した。




蝉は、いつまで鳴き続けるのだろう。
十年近い生涯のほとんどを土の中で過ごし、
地上に居られるのは一週間程度だという、蝉。


蝉は、いつまで鳴き続けるのだろう。





ブギギッ。


蝉が強く声を上げるのが耳に入った。




「あ、蝉死んだ」
「…えげつないな、お前」


あっさりと言ってみせたお前は、
どんな顔だったんだろうと顔を上げると、
窓の外をずっと見続けていたから、
そのまた横顔を眺めるのがなんだか悔しくて、
視線を床のコップに落とすとそれに手を伸ばして一口飲んだ。
また床に戻した時は、半分しかなかった。


暫くしても、時は動かなくて。
仕方が無しにもう一口麦茶を飲んだ。


もう一口飲んだ。

コップは空になった。




蝉の声が、なくなった。


蝉は、なかなくなった。






















これのどこが神尾夢なんだYO!
こんなの神尾じゃないZE...。
実際、キャラも主人公もどこにも名前出てきてないしNA!(笑)
でも、始めに神尾で浮かんだんだから貫くぜい。
インスピレーションを大事にするんだい。

まあ、たまにはこんな雰囲気でもいいじゃろうて。
神尾って素直だからいけると思うんだ。(何が)(必殺主語抜かし)

主人公の性別不明。サバサバしてる性格ですね。
一応♀のつもりで書いてたんだけど、
いつの間にか頭の中で構成されていたのは神&林。(爽=笑え)

っていうか、意味不明な話だな…勝手に不可読み(←!?)して。笑。


2004/08/25