* 今時サクラドキッ *












  サクラ と聞いて、あなたはどの季節を思い出す?





「春に決まってんだろ」

「……」



素晴らしくあっさり答えられてしまった。

しかも、私の期待している答えとは違う。


確かに、人に訊けば十中八九…いや、もっとかもしれない。

改めまして、ほぼ確実に、そう答えるだろうケド。



「もうちょっとまともな回答できないの?」

「はぁ?すっげー真面目だったじゃねぇかよ」


それとも桜が春じゃねぇっつーのか?

雅也はそう聞き返してくる。

私は口を尖らせた。



「来て」

「?」

「何も言わずについてきて!」


不思議そうな顔をした雅也が口を開く前に、私は先を歩き始めた。




 寄り道する 通学路

 アナタと二人で

 目指す先には

 サクライロのユメ




「ほら!」



辿り着いたのは、川沿いの遊歩道。

気温は高くて蒸し暑いのに、なんでだろ。

そんなの全然気にならない。



「桜並木ィ?葉桜じゃねぇか」

「よく見てよ」


眉を顰める雅也。

私は指を差す。


その先には。



「…サクランボ?」

「そー、さくらんぼ!」



淡紅色の桜吹雪もいいけれど、

唇のように真っ赤な桜桃も、忘れちゃいけないよね。



「花より団子ってわけか?お前らしい」

「うん。花より果実」



皮肉な一言を真顔で返した。

二人無言で固まった数秒後、同時に噴出しだ。



「それからね、もう一つ理由があるんだよ」

「あ、なんだ?」



正面に立ってたのを、横に回り込んで。

宙に揺れてる手をパシッと掴むと、見上げながら。




 「本日7月1日!お誕生日おめでとう、桜井雅也くん」




きょとんとしていた雅也は、漸く認識して「ああ…」と顔を覆った。

頬の端がかすかに赤らんだように見えたのは、気のせいかな?



「…ところで雰囲気崩して悪いけど、今何時?」

「あ」



そう。

通学路の途中で寄り道した私たちですが。


帰り道じゃなくて、登校中、だったりして。




「…無理。完全遅刻」

「あいちゃー」



覗き込んだ腕時計は、始業のベルが鳴る時刻を示していた。

もしかしたら遅刻するのなんて始めてかも。


「急ごっ。走ってく?」

「いや」


解こうとした手を、雅也は更に強く掴んで。




「どうせ遅れるんだったら、ゆっくり行こうぜ」




怠惰的にも取れるけど、

そんなところが 好き。




「この際そのままフケるか?」

「えー、それはダメー」


「じゃあ言い訳どうするよ」

「んー…お花見してました、とか?」



二人、肩を並べて笑い合った。






  さて、もう一度質問です。


  サクラ と聞いて、あなたはどの季節を思い出しますか?






















さーくーらーいーくーん!!!(叫)
好きです。かなり好きです。
捏造しまくってますがもう知らんです。

桜ネタ使いたいなぁ…と思ってて、
頭に浮かんだのが学校の帰りに路上で販売してる桜桃。
それでピカーンと閃いてみました。
一部某歌に影響受けてる予感が…。(あーなーたーとー♪)

ついに約束を果たす瞬間です!
桜井君誕生日記念ということで、桜時様に捧げます。
謎な作品で申し訳ございますが、受け取っていただければこれ幸い。
最後にもう一度、ハッピーバースデーv


2004/06/28