足して2で割りゃ丁度イイ。


どうせオレたち半人前。











  * 凸凹パズルピース *













「海堂、ここ教えちくり」

「あぁ?」



恐い顔された。

だけど、「どこだ。見せろ」だとよ。


素直じゃないけど、実は優しかったりする。うん。


「"I have thrown the garbage away." …何が分かんねぇんだ」

「どうして捨てたはずのゴミを持ってるんだよ」

「……」


溜息をつかれた。(何故?オレは大真面目だ!)


「お前…英語は明日だってこと分かってるのか」

「だからこうして必死に勉強してるんじゃねぇかよ!」


すると、海堂は教科書を指差しながら説明を始める。


「…いいか、これは過去分詞なんだ」

「ふんふん」


「だから、このhaveというのは助動詞で、本来の“持つ”という意味はなしていない」

「ふんふん」



なんて頷きながら、実は半分ぐらいしか分かっちゃいねぇ。

いや、半分も分かってりゃいい方だ。


だけど海堂がやけに一生懸命教えてくれて、

それに感動した俺はひたすらに首を上下に振ってた。


コイツ、指細ぇな。

その割に筋張ってる。

爪もきちんと切り揃えられてるし。



「……聞いてるか?」

「おぅ!ばっちりな」


オレは自信満面に胸を反らせて応えた。

勿論、全部聞いていたとも。

一字一句逃さずにな。


…最後の方は怪しかったけど、まあ大体。



「じゃあ説明してみろ」

「よし、いいか?まず、これは過去分詞ってやつなんだよ」


自分が教えている気分になって、
オレは自信満面に教科書の例題を指差しながら始める。


「で、haveは助動詞?だっけ?まあとりあえず、普通とは違う使い方なんだよ」


海堂は何も言わずに黙ってる。

文句を言ってこないってことは、あってるわけだ。よし!


オレは更に勢い付いて説明を続ける。

調子に乗って、例題なんかも使ってみたりする。



「つまり、例えばこの文章…"I have an apple."これはつまり、“リンゴでした”…完璧!」



…フシュウ〜。


あ、あれ?

溜息吐かれちった?



「……落第決定」

「お、オイ!なんだよそれ!!」



頼むよ、何が違うんだ教えてくれよ〜!

そう叫びながらオレは海堂の腕にしがみ付いた。


「落第なんてしたら、一緒に進級できないじゃねーかよ!」

「………」


バカが。

と、海堂は吐き捨てた。


「出席日数足りてれば義務教育で落第はありえないだろ」

「え、そうなのか?」


海堂はまた深く溜息を吐いた。

さっきからオレ、呆れられっぱなしみたいだ。



「…どこに過去分詞があるんだよ」

「だからhaveが…」

「……進級どころか中1に落とされるぞ」

「えー!?なんでだよ!オイ頼むよ!!」



なんだかんだ言って、海堂は結局丁寧に教えてくれる。

ぶっきらぼうだけど優しいやつなんだ。


部活がないのは嫌だけど、テスト前も悪くないな。

普段とはまた違った一面が見られる気がして。



「じゃあ海堂、次はオレが数学を教えてやろう」

「…お前がか?」

「疑ってんのかよ!こう見えてもオレ、数学だけは大得意だぜ!」


また、ギャーギャーと騒いで。

結局、あまりはかどらなかった勉強会だけれど。

だけど一人でやるよりは進んだかな、きっと。
(海堂に言わせれば「家に居た方が良かった…」らしいが)



それに、楽しかったし。

向こうがどう思ってるかは、知らねぇけどよ。



勉強でも。テニスでも。性格においても。


デコボコだからいいのかも、なんつってな。

お互い、足りないところを補っていけるから。

そう、それはまるでパズルのピースみたいに。



「なあ海堂、もっかい分からないことがあんだけどよ」

「あ?」

「過去分詞ってなんだっけ?授業でやったか?」

「……」





  このデコボコさ加減が、丁度イイ。オレはそう思う。






















この二人をセットにすると桃ちゃんがバカになる。何故。
お蔭で昔はよく桃海のつもりが海桃になってたなぁ…。(遠目)
っていうか、これはもう友達以上?
そうでなくても二人でお勉強会とかするかなぁ…むぅ。

桃ちゃん、数学は得意って言ってるけど、
教えられるほど得意じゃないと思うんだ。
「言っとくけど、数学だけは平均以下とったこと一度もないぜ!」
っていうレベルの自慢。あー素敵。

真ん中バースデー記念でした。


2004/06/17