* 僕等色戦争 *












「元気?」

「……」


ボーっとしていたら、横から顔を差し込まれる。

瞬きを繰り返すだけで、私は返事をしない。


だって。


今、喧嘩中だったはずなんだけどなぁ。

それとも休戦中とでもいうの?

アナタは普通に話し掛けてくる。


「いやぁ、4年目突入じゃんね」


聞く耳持たないつもりだった。

けど、その言葉の意味が気になって。

ついつい口を開いてしまった。


「何が4年目だっけ…」

「うわ、そりゃ酷いよー。今日で付き合い始めて4年目じゃん」

「ああ……」


黒板に書いた日付を見た。

確かに。

去年までは楽しく手帳に印でも付けてた憶えがある。


だけど今年は付けてない。

だって、私たちって今、喧嘩中。


「つまり丸三年付き合ってたわけだ。凄くない?」

「途中喧嘩だらけだったけど」

「それは言いっこなしっしょ」

「っていうか何度も別れかけたよね」


どんどん言葉をぶつける私。

清純は「それ以上は言わないでよ」と苦笑い。

私自身も言ってて虚しかったので、口を噤んだ。


一瞬漂った沈黙の中に、清純は言葉を放つ。


「んー。まず、別れるっていう言い方が悪い。休戦とかそういう言葉を使おうよ」


確かに。

何度も破局の危機には陥ったけど。

最終的には戻ってくるって心のどこかでは分かってたから。

所詮は一時的なものに過ぎなかったと。


しかし……キュウセン?



 休戦:双方が申し合わせて戦闘を休止すること(by広辞苑)



…戦闘。



「あはっ!」

「え、なに?」

「いや、なんでもない」


そうか、休戦ね…はいはい。


それはつまり。

私たちの日常が戦いだと。

そうとって宜しいんでしょうか。


なんてこんなことを口に出したら、

揚げ足を取ることになってしまうのだろうから言わない。


だけど、面白かったからいいや。


「そうだね、休戦」


ふぅ、と溜息を吐いた。

それは、嫌なものを吹き飛ばしきった。


目を見た。

ちょっと間を置いてから。



「新しく、生まれ変わろうか」



私はそう云った。

笑顔を見せた。


言葉の意味が正しく伝わったかは分からないけど、

笑顔が返されたから、とりあえずは平気だろうと思った。



私たちの戦いはいつまでも続くであろう。






















4秀目突入おめでとうというわけで。(ぇ

リクにお答えして千石ぶっ放してみた。
かなり似非くさいけどまあいいだろう。

別れたって結局続くって、凄いよね。


2004/05/10