* コドモの日 *












いつもは横で大いびきを掻いているこの人が。

何故か今日は目をランランに輝かせて講習を受けている。


どうしちゃったんだ…ジローたん。



「ねぇねぇジローたん」

「ん、なに?」



無邪気な顔で返事をしてくる。

今時の男子と言ったら、名前にちゃん付けは愚かたん付けなんてした日には、

凄い勢いで軽蔑視してきそうだが。

気に入っているのかどうかは別として、

そのような呼び方をしてもジローたんは明るく返事をしてくれる。


こしょこしょと私は話す。



「どうして、今日は起きてるの?」



補習の授業中だというのに、先生の話を遮って小声の会話。


授業を妨害するほどの大きな声ではない。

それでも先生は気付いて睨みつけてきた。


だけどジローたんが起きているのがまず珍しかったため、

特に何も言ってこなかった。

ここで静かにするように注意でもすれば、

どうせまた眠ってしまうって先生も分かっているんだ。


どちらにしろ授業に参加してないのは同じだ。

私は思わず声を出して笑いそうになる。


と、ジローたんは言った。



「んーっと、今日は特別な日だから」

「特別な日?」



さぁて、何の日だっけ。

本来ならば休日であるのに学校にきてるってだけで

特別といえばそうだけどそんな目を輝かせるような…。



ジローたんは言った。



「オレの誕生日っ!」



歯を見せて笑う。

私も一緒に嬉しくなって笑った。

「おめでとー!」って言いながらパチパチと拍手をすると、

さすがに先生から五月蝿いと咎められた。


ごめんなさいと首を縮める。

横を見ると…寝たふりしてた。(なんてこと…)



先生がまた教科書に視線を移すのを見ると、

ジローたんは顔を起こした。

そして「なんか、良いことありそうでワクワクすんだろ?」と言った。



確かに。

いつもと何が変わるって訊かれたら、

何も変わらないんだけど。

それでも、誕生日っていうのは、

やっぱり特別な一日なんだ。


敢えていうとしたら、

沢山の人に祝ってもらえて。

幸せになって。


そんな日。




それでも、たったそんな理由で目を輝かせて、

いつからは随分違った生活態度を見せるジローたんを見て、

歳はとってもまだまだ子どもだなぁ、なんて思ってしまった。



そうだよ。


だって、


私たちまだ、


コドモだもんね。




「お祝いに後でなんか奢ったげる」

「マジ?やった!嬉C→!!」



再度先生の視線が飛んできたので、

私は今度こそ本気で首を竦めた。

下を向いたまま顔をそっと横に向けると、

ジローたんはやっぱり寝たふりをしてた。

暫くしても起き上がらなくて、ついにはいびきを掻き始めた。


…本当に寝ちゃったカナ?


まあいっか。




 そんなところも 好きだからさっ。






















素晴らしいね。10分足らずで書いた。(ごめんなさ…)

ついでに書いてて素晴らしいことに気付いた。
こどもの日に学校は有りません!(笑顔)
(ドイツっ子なもんでこういうことに気付き損ねる)
急遽補習ってことにした。クラフティ。
でも、祝日は先生も休む…?まあいいや☆

ジローってこんなでええんか?分からん!
でも楽しかったからいいや。えへへ。
とにかくハッピーバースデー!!


2004/05/04